2019年7月20日、マイナビ女子オープンの一戦予選が行われ、本戦入りをかけた決勝戦で磯谷祐維アマが右玉を採用してくれた。
磯谷祐維アマは元奨励会。女流棋戦で好成績を残している。現在高校二年生。同日行われた初戦で上田初美女流四段に勝利している。
対するのは渡部愛女流三段。女流王位の経験もあるトップ女流棋士だ。
2019年7月20日 第13期マイナビ女子オープン 予選 渡部愛女流三段 対 磯谷祐維アマ
※要Flash
一手損角換わりから右玉へ
戦形は一手損角換わり。
4五桂を警戒して4二玉と駒組みを進める。
玉を右に転換し、右玉へ。
飛車先歩交換への対応
先手は歩先を交換。ここは3五歩から考えたいところ。
似た局面を紹介しているので参考にしてほしい。
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角交換右玉で相手が飛車先の歩を交換されたときに、素直に歩を打って収めるのは悔しい。 もちろん、歩を打ったほうがよいときもあるが、それ以外の手で有意になることもある。詳しくは「飛車先歩交換への対応」カテゴリを見てほしい。 今回は、2018年の...
本譜の場合は切り返しの1五角打は打てないが、それでも3五歩がよかったかもしれない。
本譜は大人しく2三歩打。これも一局ではある。
銀を積極的に繰り出し右玉有利に
3筋で歩交換したあと、5五銀と積極的に進出。先手としてもイヤな手のはずだ。
3三歩打、2二金の交換をいれたあとに6一飛。
しかし、この手はよくなく、右玉有利に。
先手は3七銀と受けたほうが安全だっただろう。
4六銀に5六角打。
対右玉急所の一手で、将来的に3六銀がいなくなったときの4七銀成からの強襲も防いでいる。
ただ、このタイミングはやや緩手。
右玉から、2八角打や5五角打、もしくは8五桂と跳ねられても厳しかった。
本譜は3五歩打。形勢はやや縮まったが、まだ右玉有利だ。
4七銀、5五歩、6七角、4七銀成、同金、3六歩打と進行。
2五桂に3八角打追撃。この手は好手で、先手の受け方も難しい。
以下、4六金と逃げるが、3七歩成でと金ができて後手好調だ。
形勢が互角に戻る
少し進んだ局面。次の一手は緩手だったかもしれない。
1六角成。しかし、これには5四角がある。
5四角、2五馬、2九飛、5八馬、5五金、5三歩打。一連の流れで評価は互角に。
再び右玉優勢へ
先手が5六桂と打った局面。後手玉は角筋にも入っていて、油断するとすぐに崩壊するが、ここはうまく後手が指し回す。
7八桂成、同玉に5六馬と馬で桂馬を消した手が好手。これで、形勢は再び後手に。
同銀に4四桂打で急所の駒を外すことにも成功した。
最後は17手詰みを読み切って勝ち
最終盤、先手6六銀が歩を外したところだが、17手詰めがあった。磯谷アマは見事寄せ切る。
5六馬の王手に6七歩打と受けるが、6七馬と切るのが好手。
同たまに5八銀打、5七玉に4七玉。ここで渡部女流三段は投了。
以下、4七銀、同と、6八玉、6七銀打、7九玉、7八金打までの詰み。
以上、一手損角換わり右玉で磯谷アマが勝利。女流タイトル経験者を2人破り、本戦へ進出することになりました。
右玉NOWは今後も磯谷アマを応援します!