2019年11月1日に行われた朝日杯将棋オープン戦一次予選決勝で、後手の豊川孝弘七段が一手損角換わり7二金型右玉を採用されたので紹介したい。
豊川孝弘七段といえば、対振り右玉の本「スリル&ロマン 対振り飛車右玉」を9月に発売したことで右玉党にはお馴染み。
一般の将棋ファンには、オヤジギャグで知られている人気棋士だ。
祝発売!「スリル&ロマン 対振り飛車右玉」速報レビュー
本日(9月11日)、史上初となる対振り右玉本「スリル&ロマン 対振り飛車右玉」が発売になりました! 著者は親父ギャグでおなじみ豊川孝弘七段。 ミギーはKindle版をゲット。紙よりも少し安いよ。 というわけで、速報版のレビューをしたいと思う...
対する先手は、村山慈明七段。
「序盤は村山に聞け」との異名でも呼ばれる序盤研究家だ。音読みの「じめい」と呼ばれる事が多いが、本名は「やすあき」である。
棋譜は日本将棋連盟モバイルからどうぞ。
※本局の局面図は朝日杯将棋オープン戦事務局の許諾を得て掲載しております。
一手損角換わり7二金型vs早繰り銀
本譜は後手番の豊川七段が4手目で一手損角換わりを志向。
対する村山七段は早繰り銀で対抗する。
後手は7二金型としては珍しく、△8五歩まで伸ばしていることが特徴。一般的には桂跳ねの余地を残すほうが多いが、対早繰り銀の△8七歩からの継ぎ歩が使えるので一長一短といえるだろう。
先手は銀を繰り出したあとに右玉崩しの▲5六角打。この角に苦戦する右玉党は多いので対応は参考にしたい。
後手が一時逆転も再逆転
後手は8筋の継ぎ歩から端歩も絡ませて反撃。
正確には無理気味だったかも知れないが、先手にやや緩手が続き、逆転。
57手目時点(上図)では確実に後手有利といえるだろう。
ポイントは68手目(上図)。
先手が▲7五歩と突き出したところで、後手は△同歩としたがこれが甘かった。
この手に変えて、△9五飛(上図)なら先手優勢だったようだ。
以後、互角の展開が続くが、83手目2二歩に対して、同金と取ってしまい形勢は完全に先手へ(上図)。91手目の▲3三銀成を見て先手投了となった。
というわけで、後手の敗戦となってしまったが、7二金型右玉を久しぶりに公式戦で見られて右玉ファンとしては嬉しいところ。
右玉NOWは今後も豊川七段を応援します!