舟囲いから右玉へ!? 梶浦宏孝五段の自由過ぎる右玉! 最終盤には恐るべき罠が

プロの右玉

2019年11月14日に行われた順位戦C級2組の対局で、後手番の梶浦宏孝五段が右玉を採用してくれたので紹介したい。

梶浦宏孝五段は24歳の若手棋士。師匠は振り飛車党の鈴木大介九段だが、本人は居飛車党。相掛かり系の将棋が多い。

対するのは井出隼平四段。角道を止めるクラシックな四間飛車が得意な振り飛車党で、居飛車も指すタイプだ。

本局は三間飛車vs舟囲いではじまったが、気がつけば後手が右玉の形になるという不思議な将棋となった。

棋譜は以下からどうぞ
2019-11-14 順位戦井出隼平 四段 vs. 梶浦宏孝 五段 第78期順位戦C級2組6回戦

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三間飛車 vs 舟囲いのはずが……

先手の作戦はノーマル三間飛車。対して後手は舟囲いへ。対抗形のオーソドックスな出だし。
30手目の局面だけを見ると、ここから後手が右玉になるとはとても思えない。玉はもちろん、金銀はすべて左辺(後手視点)にあるからだ。

気がつけば後手は右玉へ

局面はお互いが間合いを図るように仕掛けは自重。先手はダイヤモンド美濃を完成させる。
ここからの後手の作戦がユニーク。先手の仕掛けを封じながら、金銀と玉を右辺に移動させはじめたのだ。66手目の時点では、7ニ金・6三金型の右玉が完成する。

入玉を巡る戦いに毒饅頭が放たれる

114手目の局面は後手が入玉できるか、先手が阻止できるか、という戦いになってきた。この時点での評価値は後手がわずかに有利。
ここから互角に近い局面が長く続き、227手目の局面。

▲6九金!

この手はすごい。△同馬でタダである。実際、本譜も△同馬。
しかし、これがとんでもない毒饅頭で、形勢は一気に先手へ。
巧みな手順で受けなしに追い込まれてしまう。これは見えない。

▲6九金に対しては、馬を見捨てて△9八香成と金を取っていれば後手がまだよかったようだ。しかし、秒読みの最終盤である。これは仕方ないだろう。指した井手四段が素晴らしいとしかいいようがない。

というわけで、右玉側は負けてしまったが非常にユニークな作戦を見させてもらった。
右玉NOWは今後も梶浦宏孝五段を応援します!