2020年1月16日に棋譜利用の許諾をNHKからいただきましたので、局面図を追記しています。
2020年1月12日に放送されたNHK杯トーナメント戦で、渡辺明三冠が右玉を採用してくれたので紹介したい。
渡辺明三冠といえば、豊島竜王・名人と並び現在最強の棋士。若い頃から活躍しているが、近年の活躍はとくに目覚ましい。居飛車本格派で、細い攻めを繋げる技術は絶品。右玉の採用もそれほど多くはないがある。
渡辺明三冠、後手右玉から機敏に仕掛け、圧巻の指し回しで快勝!
2019年8月20日に放送された銀河戦で、渡辺明三冠(対局時は二冠)が後手右玉を採用してくれて、快勝したので紹介したい。 渡辺明三冠は現在、豊島名人と並ぶ棋界のトッププレイヤー。竜王戦9連覇時代を超える全盛期を迎えていると言っても過言ではな...
対するのは、木村一基王位。昨年は46歳にして初タイトルとなる王位を獲得して世間を沸かせた千駄ヶ谷の受け師。解説者としてもトップクラスの人気を誇る。
本譜は相掛かりの出だしから、後手の渡辺三冠が変則的な右玉で対抗する展開となった。
棋譜は以下からどうぞ
対局予定・結果 – NHK将棋 – NHK
※2020/1/12現在では棋譜未掲載。そのうち公開されると思います。
公開されています!
後手、中住まいから右玉へ
序盤は相掛かり。後手は中住まい、先手は6八玉型へ。
先手の棒銀に対し、後手は6五歩の位を取り、△5八金を入れて△6二玉と右玉にして戦場から離れる。
この時点での評価値はやや先手よりの互角。
先手の猛攻を受け損ねたか
後手は馬を作るが、先手は3筋から猛攻。巧みな手順で受ける渡辺三冠だが、66手目の△3四歩打がソフトによると緩手。これが敗着となってしまったかも知れない。
変えて、△3六歩打、▲同飛、△2七馬とする展開のほうがよかったようだ。それならわずかに後手よりの互角(以下変化図)。
変化図
以後、飛車をいじめる後手に対し、攻め駒を増やす先手という展開になっていく。
木村王位、紙一重で交わす
96手目、後手は△3八飛打の王手。先手玉は8筋が壁になっており、かなり怖い局面だ。
ここで、合駒ではなく▲7九玉と逃げた手が好手。先手視点から見ると生きた心地がしないがギリギリ受かっている。
渡辺三冠も香を入手して受けてから早逃げするなど秘術を尽くすが、木村王位の指し手は正確。最後は詰み筋に入り、木村王位の勝利となった。
上図投了図からの詰み筋は、△8四玉、▲7二金、△8五玉、▲8六馬。
というわけで、右玉側の負けとなってしまったが、中盤までは互角の展開。
3筋の受け方は参考になるはずだろう。
右玉NOWは今後も渡辺明三冠を応援します!