今週はプロ棋戦で右玉の採用が比較的多かったのでまとめて紹介したい。
3月31日(火)2局が右玉となる
まずは3月31日。この日はモバイル中継された対局のうち、2局が右玉だった。
竜王戦1組昇級者決定戦の佐藤康光九段 vs 佐藤天彦九段。
佐藤対決でもあり、元名人対決でもある。
この対局は相雁木模様の出だしから、後手が右玉にスイッチし、先手は穴熊へ。先手やや作戦勝ちだったが、後手も決め手を与えず互角の展開が続く。95手目時点ではむしろ後手有利だったかもしれない。終盤、後手必死の攻めも届かず、最後は先手の天彦九段が寄せ切った。右玉側の負けとなった。
棋譜はこちらから。
2020-03-31 竜王戦佐藤康光 九段 vs. 佐藤天彦 九段 第33期竜王戦1組昇級者決定戦
続いては竜王戦4組昇級者決定戦の野月浩貴八段 vs 島朗九段。
こちらは一手損角換わりから、先手が4六角打を配置したのを見て後手は右玉へ。対する先手は穴熊。互角の展開だったが、後手が飛車交換を受け入れてから流れは先手へ。じりじりと差が付き、最後は島朗九段らしい早投げで右玉側の負け。
2020-03-31 竜王戦野月浩貴 八段 vs. 島 朗 九段 第33期竜王戦4組昇級者決定戦
4月1日(水)磯谷祐維アマが快勝!
4月1日は、大山名人杯倉敷藤花戦でで後手の磯谷祐維アマが右玉で勝利!
詳しくは以下のエントリを参考にしてほしい。
4月2日(木)青嶋未来五段が右玉! しかし中継されず
4月2日は「現代右玉のすべて」の著者でお馴染み青嶋未来五段が右玉! しかし、この対局は中継されておらず、我々一般人に棋譜は届いていない。青嶋五段の右玉が見られる貴重な機会だったのに残念。
しかし、青嶋未来五段がブログで対局内容を紹介されている。ありがたし。右玉から変化したあとの局面図しかないがぜひ見てほしい。
対局相手の上村亘五段の感想ツイートも。
昨日の竜王戦の対局は対角換わり右玉からジリジリとした展開。ペースをつかんだものの、勝負所で踏み込みを欠き、粘りも欠いて敗戦になりました。反省点があまりにも多い将棋でした。また見直して頑張ります。
— 上村 亘 (@kamimurawataru) April 3, 2020
4月3日(金) 畠山成幸八段が右玉
4月3日は竜王戦4組昇級者決定戦の大橋貴洸六段 vs 畠山成幸八段戦。
棋譜は、スマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」からどうぞ。
角換わりから後手の畠山六段がストレートに右玉へ。7七銀を6七銀への繰り替え、▲1八角打の遠見の角など、右玉対策の手筋が多く出たほか、右玉側も飛車先歩交換のタイミングでの△3五歩など手筋を出す。58手目、後手から9筋からの端攻めは強烈だったものの、やや無理があったか形成は先手寄りに。後手は飛車の成り込みに成功するものの、やや戦力不足で先手勝ちとなった。ただ、右玉党に参考になる部分が多い対局といえるだろう。
以上、今週のプロの右玉情報でした。