2020年4月1日に行われた大山名人杯倉敷藤花戦1回戦で、後手番の磯谷祐維(いそやゆい)アマが右玉を採用してくれたので紹介したい。
磯谷祐維アマは奨励会在籍経験のある新高校3年生。右玉を得意戦法としており、昨年のマイナビ女子オープンの一戦予選決勝戦ではタイトル経験者の渡部愛女流三段相手に右玉で勝利している。
マイナビ女子オープン予選、磯谷祐維アマが右玉で女流タイトル経験者に勝利!
2019年7月20日、マイナビ女子オープンの一戦予選が行われ、本戦入りをかけた決勝戦で磯谷祐維アマが右玉を採用してくれた。 磯谷祐維アマは元奨励会。女流棋戦で好成績を残している。現在高校二年生。同日行われた初戦で上田初美女流四段に勝利してい...
対する先手は武富礼衣(たけどみれい)女流初段。居飛車党で立命館大学に在籍中。2018年度には女流名人挑戦者決定リーグ入りにより、女流2級から女流初段へ飛びつ昇段をしている。
本局は後手番が角換わりなしの風車右玉を選択。5筋に飛車を展開して攻める展開となった。
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風車右玉 vs 6七金型
後手は風車右玉。先手は4七金を早めに決め、2枚の銀を攻めに使う形。両者ともやや動きにくそうな形だが、後手番は飛車を5筋に展開し、積極的に仕掛ける。
59手目あたりまでは先手優勢だったが、64手目△4七歩成が好手で互角に。69手目▲5六歩が弱気だったのか後手有利の流れになった。
右玉の安全度を見切って見事に寄せる
81手目、先手は飛車取りがかかったギリギリの局面で▲4四歩打!
後手は放置して飛車を取る。正確には△4二金と引いた方が良いかもしれないが、相手の読み筋は外して形勢は有利のまま。磯谷アマの深い読みに基づく優れた勝負術と言えるだろう。
89手目▲5三金打の時点では右玉はかなり怖い局面。先手玉はまだ遠い。しかし、ソフト評価値は後手有利。ここからの指し手は右玉の安全度を理解した右玉慣れした指し回し。ギリギリで受けつつ、最後は即詰みで後手磯谷アマの勝利となった。
今後も公式戦で磯谷アマの右玉が観られることを期待したい。
というわけで、右玉NOWは磯谷アマを応援します!