2020年11月2日に行われた大成建設杯清麗戦予選で、先手の山田久美女流四段が角交換なしの先手右玉を採用してくれたので紹介したい。
山田久美女流四段は1982年にプロ入りしたベテラン女流棋士。2014年の倉敷藤花戦では、25年ぶりのタイトル挑戦ということで話題となった。過去に「原宿将棋通り」でCDデビューも。
対する後手は伊藤沙恵女流三段。女流界トップクラスの実力者ながら、タイトル挑戦7回で獲得はなく、今後の獲得が期待される。受け棋風だが、本局では積極的な攻めを見せている。
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先手右玉 vs 早繰り銀
本譜は後手が角換わりを拒否。相居飛車となり、先手は右玉、後手は3三角型の矢倉へ。
後手は早繰り銀で積極的に攻める。右玉側は受け間違えると一気に崩壊するので、受け方は知っておく必要がある。△7五歩の突き出しは、▲同歩としてはいけない。
右玉、反発から有利に
後手の攻めに対して、先手は2筋と4筋から反発。43手目▲4四歩とした局面は右玉有利と言えるだろう。
44手目△同金とした局面では、▲6四歩があったかもしれない。
本譜は▲2二歩から桂得を狙う手順となったが、互角の展開に。
後手確実な寄せ
53手目▲5六歩はやや強気だったか。流れは後手よりに。
57手目、角取りを放置して▲4五桂としたあたりからはっきりと後手優勢の流れになってしまった。
以後、着実に寄せた後手伊藤沙恵女流三段の勝利となった。
以上、右玉側の負けとはなってしまったが中盤は右玉が良さそうな局面もあった。以降もぜひ、先手右玉を採用してほしいところ。
というわけで、右玉NOWは今後も山田久美女流四段を応援します!