2020年10月24日~25日かけて行われた第4回電竜戦予行練習。
以前紹介したように、右玉も数多く指された。
電竜戦(予行演習4)で指されたソフトの超ハイレベルな右玉たち(水匠のセカステ右玉も!)
2020年10月24日~25日にかけて、世界将棋AI 電竜戦の第4回予行練習が行われた。 電竜戦とは、カツ丼将棋さんらが主催する、コンピュータ将棋のオンライン将棋大会のこと(人間も参加可)。 2020年11月21~22日に第1回の本大会が予...
今回はその中から気になる一局、水匠が指したセカステ右玉を紹介したい。
水匠は現在最強と目されるソフトで、第4回電竜戦予行練習では全勝。
作者はたややんさん。
セカステ右玉とは、将棋倶楽部24の強豪SecondStage氏が愛用した5六銀・4七金型の右玉のことだ。
詳しくは以下のエントリで。
最先端で蘇るセカステ右玉
最近、プロ棋士や強豪ソフトが右玉を採用するケースが多いが、中でも際立っているのは角換わり腰掛け銀から変化する「セカステ右玉」の形だ。 そこで、今回はセカステ右玉の話をしていきたい。 名人戦でセカステ右玉が登場! 先日行われた名人戦第3局。こ...
対局相手は、W@nderER。作者はW@nderERの中の人さんで、入玉を目指すという特徴があるらしい。
棋譜は電竜戦サイトの以下ページからどうぞ
第4回予行演習2部 29回戦☗水匠 予行電竜-☖W@nderER
動画で観たい場合はこちら
先手、セカステ右玉へ
序盤角換わりから△同金は少し珍しい。△7二銀も入っているので、阪田流でもなさそう。
先手は▲5六銀の腰掛け銀。
▲4七金を入れ、玉を右に移動して右玉へ。いわゆるセカステ右玉という形だ。
6筋で歩交換をしつつ▲6六銀と繰り出す。
△6五歩には、強く▲5五角打! とする強手もありそうだが、本譜は素直に▲7七銀と引き換えした。
水匠、早くも有利を自覚
水匠は55手目、▲7七桂ではやくも有利を自覚しているようだ。難解だが、後手の陣形がそれほど良くないということだろうか?
73手目に▲1五歩の端攻め敢行。ソフトは端攻めを受けないことがあるが、本譜もそのように進む。
水匠、飛車取りを手抜いて攻める
120手目の局面。▲同飛の行ってかと思いきや手抜いて、▲3五銀で金を取る。
玉頭付近の銀をバックしつつ金を取る手だが、意外と金が攻めにも利いているということだろうか?
▲3四馬の王手。△4三桂は▲4四歩の追撃があるので意外と受けにくい。本譜は怖いが△5一玉と落ちた。
△3七歩打は実践心理的には怖い手。先手勝勢の局面だが、▲同歩や▲同金は危険。冷静に▲4八金と引いて受けた。
水匠、安全勝ちを目指す?
157手目▲6三歩打で水匠は評価値31111(必至)を出して勝利を確信。
少し進んで166手目で詰み発生(19手詰み)。
しかし、水匠は▲7五香打! ちょっと不思議だが、こちらのほうが早く勝ちそうだ。
相手のW@nderERも即詰みの筋ではなく、▲7五香打を読んでいる。
ちなみに詰み筋はこんな感じ。
最後は差がついて水匠の快勝となった。
以上、水匠のセカステ右玉でした。
動画版も是非どうぞ
【ソフトの右玉】水匠が披露した世界最高レベルのセカステ右玉!
というわけで、右玉NOWは今後も水匠と電竜戦を応援します!
AI電竜戦プロジェクト
特定非営利活動法人AI電竜戦プロジェクトとは、AI(人工知能)に関し大会の開催や普及活動を行いAIの発展に寄与することを目的とする特定非営利活動法人である。