2020年11月10日に行われた叡王戦予選にて、先手番の佐藤康光会長が左玉を採用してくれたので紹介したい。
佐藤康光九段は羽生世代の一流棋士で、名人二期ほか獲得タイトル13期。現棋士会会長でもある。変態流とも呼ばれる独特な序盤が特徴で、本譜でも発揮された。
対する後手は島朗九段。緻密な序盤研究に定評があり、初代竜王でもある。角換わり腰掛け銀研究は名著。最近では、鈴木環那女流三段の母親と再婚したことでも話題となった。
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
Abemaの視聴はこちらから可能
第6期叡王戦予選 島九段-佐藤康九段/勝又七段-宮田七段/高見七段-第2局勝者
※10:40頃から。解説なし、視聴期限があるかも。
※ABEMAプレミアムならコメント付きで視聴可能です。
先手、馬を作らせてから左玉へ
序盤、先手は馬をあえて作らせて向飛車にする作戦を採用。先手は馬付きの穴熊、後手はなんやかんやあって左玉へ。
左玉とは、右玉と左右対称となった構えで、指し回しも右玉感覚でできる。右玉の親戚といってよいだろう。基本的には対振り飛車の作戦だが、本譜は対居飛車。元々珍しい左玉だが、さらに珍しい。
左玉の棋書としては、「相振り飛車で左玉戦法 居飛車で右玉戦法」や「完全版 高田流新感覚振り飛車破り」などがある。
先手、中住まいへモデルチェンジ
後手は9筋から見せ、それに呼応するように先手は戦場から離れる中住まいへ。自由自在な戦い方だ。
端攻めから穴熊を崩壊させる
先手は9筋の攻めを手抜いて、端攻めを敢行。あっという間に穴熊が崩壊してしまった。自陣はほぼ手つかずだったため、99手目を見て島九段が投了。佐藤会長の快勝となった。
というわけで、アマチュアには参考にしにくいが、右玉党としてはチェックしておきたい一局だろう。
右玉NOWは今後も佐藤康光会長を応援します!