2021年2月8日に行われた棋王戦予選で、先手番の門倉啓太五段が先手右玉を採用してくれたので紹介したい。
門倉啓太五段は東京出身の中堅棋士。かつては振り飛車党だったが、現在は居飛車の将棋が多い。「カドック」の愛称で、人狼などネット番組でも人気。
対する後手は青野照市九段。現在68歳の大ベテランで、A級在位11期、タイトル戦登場1回。鷺宮定跡や横歩取り青野流、後手番一手損角換わりなど、序盤の作戦への寄与も大きい。
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
棋王戦は棋譜利用の申請は一切返信がないので今回申請は控えています。以下は簡易紹介です。
創始者による一手損角換わり
序盤は一手損角換わり。現在、プロ棋戦では減っているが、「大夢流一手損角換わり」が先月刊行され、今後復活するかもしれない。
対する先手は、一度は左に寄った玉を右へ移動して右玉に組み換える。
4枚右玉を視野に入れた駒組み
先手は左金を右に寄せ、4枚右玉(最強右玉)も視野に入れた駒組み。組み上がれば穴熊並みに堅くなる。
本譜は後手が先に攻める展開になるが、先手やや有利。
一旦は後手有利な局面もあるが、先手優勢で終盤へ。
後手逆転
88手目の桂馬を金取りに打った局面。ここが本譜の岐路となった。ソフトの読み筋は、▲同飛。桂馬を食いちぎって攻めれば先手が速かったようだ。
本譜は金を逃げたため逆転。△5八龍と入られ、後手の攻めが切れなくなった。
最後は先手が詰ますかどうかの勝負なったが、不詰。龍を抜く手も成立せず、後手の勝利となった。
というわけで、右玉側の負けになってしまったが、中盤は明らかに右玉有利だった。門倉五段には、ぜひまた右玉を採用してほしい。
右玉NOWは今後も門倉啓太五段を応援します!