2021年4月17日に放映された第4回ABEMAトーナメントで、チーム三浦の高野智史五段が2回右玉を採用してくれたので紹介したい。
第4回ABEMAトーナメントは、AbemaTVが主催する超早指しの団体戦の非公式戦。3名一組のチーム戦で行われる。
4月17日の放送は優勝候補のチーム藤井とチーム三浦の対戦。高野智史五段は第3局と第6局に登場。
第3戦は伊藤匠四段相手に先手番、第6戦も同じく伊藤四段相手に後手番となった。
高野智史五段は角換わりを得意とする若手棋士で、順位戦で右玉を採用したこともある。
幻の妙手があった角換わり右玉の一局を紹介(2018年の順位戦より)
今回は2018年の順位戦C級2組、村田智弘六段 vs 高野智史四段の一局を取り上げたい。 この対局では角換わりから後手の高野四段が右玉に構え、右玉ならではの指し回しで序盤を優位に進める。 端攻めへの対応や王手金取りを事前に防ぐ手なども登場す...
公式の中継は以下のアドレスですが、ABEMAプレミアムでしか視聴できないっぽいです。
第4回ABEMAトーナメント 予選Aリーグ 第二試合<チーム藤井VSチーム三浦>
代わりにYouTubeに棋譜並べ動画がアップされているので、そちらをどうぞ
【公式:将棋✕AI】角換わりで高野五段が伊藤四段に勝利!自陣角打ちが最後まで光る[予選A-2第3局]│第4回ABEMAトーナメント
【公式:将棋✕AI】伊藤匠四段が決めた!一手で大逆転の瞬間!相掛かり[予選A-2第6局]│第4回ABEMAトーナメント
将棋連盟主催の棋戦ではないため、一部局面図のみ掲載させていただきます。AbemaTV関係者の方、問題ありましたらご連絡お願いします。
第3局先手右玉
先手、一度左にいった玉を右へ
第3局は角換わりの将棋から後手が早繰り銀。
△5五銀というやや挑発的な手に対して、▲5六歩。△同銀はさすがに銀が危険になるので取り切れず。
先手は一度は左に行った玉を右に移動させて右玉へ。
先手から仕掛ける
先手は右玉の理想形にして、▲4五桂から仕掛け。十分に成立している。
少し進んだ局面。ここで▲4一角という手があるようだ。△6二飛で受かるが、すぐに取られる心配はない。本譜は▲4一角ではなく▲3七金。その後、後手は△4二金としたので、▲4一角の筋を警戒したのかもしれない。
角の睨みが最後まで生きて快勝
87手目▲8八角の王手。簡単に受かるが、後手玉はこのラインから抜け出せず、最後まで生きることになる。
110手目の局面では、21手詰みが発生。高野が寄せ切って勝利となった。
第6局後手右玉
相掛かりの出だしから後手右玉へ
第6局は同じ対局相手で、先後が逆となった。序盤は相掛かり調で、後手は右玉へ。
ソフトの読み筋も右玉。この形は右玉が有効ということだろう。
後手から角交換を要求。危険にも見えるが、ソフトもよく使う手で悪くないことが多い。
後手、△5四角を放つ
46手目、後手は△5四角。対右玉によく出る手だが、右玉側からも有効な手だ。
不安定な銀を狙っている。
この後、この角が狙われることになるが、役目は果たすことになる。
角は死んだが、△3四金が好手。角銀交換ながら後手有利の状況となった。
後手、痛恨の大逆転を食らう
終盤の局面。▲5四歩があって忙しい局面だが、△4六金と銀を取れば、後手勝勢だったようだ。
しかし、△7五桂としてしまい大逆転。超短時間の勝負だけに仕方がないところだろう。
結果、後手負けになってしまったが、終盤まで優勢で高野五段の右玉は素晴らしかった。
というわけで、右玉NOWは今後も高野智史五段を応援します!