2021年4月22日に行われた王将戦一次予選にて、後手番の大橋貴洸六段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
大橋貴洸六段は奇抜なスーツで有名な若手棋士。四間飛車に大隅囲いを組み合わせた「耀龍(ようりゅう)四間飛車」で升田幸三賞を受賞している。耀龍四間飛車は右玉にする変化もあり、右玉党もチェックしたい戦法だ。
対する先手は山崎隆之八段。今期よりA級となったトップ棋士。独創的な序盤戦術が特徴で、右玉の採用も非常に多が、本局は対右玉となった。
ABEMAトーナメントで似た形が
本局は相掛かり調の出だしから、後手は右玉へ。先手は▲3五歩から銀を▲3六に繰り出してくる。
この形だが、先日のABEMAトーナメントの伊藤匠四段 – 高野智史五段(2戦目)に似ている。
ABEMAトーナメント伊藤匠四段 – 高野智史五段戦より
玉の位置など微妙に違うが、参考に並べてみほしい。詳しくはこちら。
floodgateでも水匠4が類型を指している
さらにいえば、2021年2月22日にfloodgateで指されたQueenAI vs 水匠4の2局にも似ているので、こちらも合わせてどうぞ。両者とも水匠4が右玉を持ち、1勝1敗となっている。
Afloodgate QueenAI – 水匠4戦より
wdoor+floodgate-300-10F+QueenAI_210222c_i9-7920x+Suisho4_TR3990X+20210308033008
wdoor+floodgate-300-10F+QueenAI_210222c_i9-7920x+Suisho4_TR3990X+20210308013003
※この2局については別途紹介する予定。
後手から角交換を要求
44手目、大橋六段は強引に角交換を要求。水匠4も同じく角道を開いていた。
▲同銀と取れる局面だが、山崎八段は角交換。一方、QueenAIは▲同銀だったので、ここから分岐していく。
この形、先手が一気に潰せそうにも見えるが、簡単には潰れない形になっている。
右玉優位の展開に
後手は57手目の△3九角が好手で、やや優位の展開へ。ただし、はっきり有利というわけではなく、山崎八段の受けも的確。
90手目の馬飛車交換あたりから、やや先手に流れが傾いていっただろうか。
以降は互いに大きな悪手はなく、最後は山崎八段の華麗な捨駒で先手勝利となった。
今日は対局でした。
ご観戦ありがとうございました。
少し作戦負け気味になってしまいました。52手目△32金がおかしかったかもしれません。
久しぶりに右玉を採用しました。
いろいろな戦法を指すと新しい発見があり楽しいです。
次の対局に向けて取り組みたいと思います。(大橋)— チーム豊島 (@abT_toyoshima) April 22, 2021
大橋六段によると、52手目が疑問とのこと。ただ、ソフト的な評価はそれほど悪くはなかったようだ。
というわけで、右玉NOWは今後も大橋貴洸六段を応援します!