2021年8月6日に行われたヒューリック杯棋聖戦 一次予選で後手番の三枚堂達也七段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
三枚堂達也七段は若手の居飛車党。上州YAMADAチャレンジ杯での優勝経験がある。得意戦法は角換わり。昨年の順位戦では右玉を採用して快勝もしている。
対する先手は本田奎五段。初参加の2019年度の棋王戦では挑戦者になる快進撃を見せ、周囲を驚かせた。こちらも居飛車党だ。
本譜は相掛かりから先手が3筋の位を取りつつ銀で攻め、後手は右玉にして強引に角道を開けて交換するという、水匠4が指してからプロ棋戦でもチラホラ出現する気になる形となった。
以下のエントリも参考にしてほしい。
王将戦一次予選で大橋貴洸六段が右玉! 水匠4もfloodgateで類型を指してる気になる形
2021年4月22日に行われた王将戦一次予選にて、後手番の大橋貴洸六段が右玉を採用してくれたので紹介したい。 大橋貴洸六段は奇抜なスーツで有名な若手棋士。四間飛車に大隅囲いを組み合わせた「耀龍(ようりゅう)四間飛車」で升田幸三賞を受賞してい...
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
棋聖戦は過去15回利用申請をしてすべて無視されているので、以下は局面図なしの簡易紹介となります
後手は2筋が潰れているようで潰れていない形
相掛かりの序盤から後手は即右玉へ。対する先手は、3筋の位を取り、銀を進出させて攻める。
49手目▲2四歩では、後手の受けがないようだが、△3五歩から強引に角交換をして受かる。知っていないと指せない形だろう。
53手目の局面は先手の攻めが刺さっているに見えるが、局面は互角。もしかしたら右玉側のが方が良しまでありそう。
後手有利から逆転模様へ
71手目の局面は先手玉がスカスカだが、香車と桂馬が好位置にいる状態。ソフト評価は後手右玉有利。
香車と桂馬どちらを外すかが問題で、本譜は香車を外したが、桂馬を外したほうが良かったようだ。
▲9四角が好手で流れが変わった。
以下、先手の攻めが急所に入りつつも後手陣に迫ることはできず後手投了となった。
というわけで、難解な局面から先手に流れは行ってしまったが、右玉としては一見悪そうながら十分にやれるという興味深い形。2筋の受け方も参考になるだろう。
右玉NOWは今後も三枚堂達也七段を応援します!