2021年8月8日に生放送された第4回ABEMAトーナメントで、チーム木村「エンジェル」の木村一基九段が後手右玉を採用してくれたので紹介したい。
木村一基九段といえば、親しみのあるキャラクターで棋界屈指の人気の一流棋士。「将棋オールスター東西対抗戦2021ファン投票」でも東日本の4位に入り、人気の高さを証明した(ミギーも木村九段に投票しました)。現在、王座戦に挑戦中で48歳にして実力もトップクラスである。公式戦で右玉を採用することも多い。
対する先手はチーム長瀬の増田康宏六段。若手の居飛車党で、新人王を2回獲得している実力者。将来のタイトルホルダー候補で、こちらも公式戦で右玉を採用したことは何度かある。Twitterはこちら。
本譜は角換わりから先手が腰掛け銀、後手は一度玉を左によってから右玉へ組み替える展開となった。角換わり右玉としては頻出の局面なので、アマチュアにも参考になるはずだ。
お〜いお茶presents第4回ABEMAトーナメントチーム永瀬VSチーム木村
※ABEMAプレミアムでしか視聴できません
角換わり腰掛け銀 vs 右玉へ
角換わりから後手は、玉が4二を経由して右玉へ。先手は腰掛け銀。
先手は▲4六角打で、角を設置。非常によくある角打ちだが、局面は互角。右玉としては不満のない展開で、将来的には金銀4枚で堅める最強右玉への組み換えなども考えられる。
先手は穴熊へ。対して後手は左銀を寄せてから△3三桂。
桂頭が気になるが、すぐには大丈夫。
後手の仕掛けから開戦
開戦は後手の△4四歩から。先手の▲6九金を咎めに行く手で十分に成立している。
少し進んだ局面。ソフトの評価は後手優勢だが、角の睨みも強烈。
△同桂▲同銀の局面。
ここでは、△5五歩や△5五銀、さらには素直に△同歩でも良かったようだ。
▲6四歩から攻められるが、やや戦力不足で後手も耐えられそう。
後手、やや緩手か
本譜は△4七角と浮いている金にも目をつけた手だったが、これが良くなかったかもしれない。
攻め合いだが、穴熊はまだ遠い。ここから増田六段の攻めも的確だった。
▲8二銀!
盤上この一手ともいえる好手。
強く△同飛としたいところだが、▲同馬△同玉に▲6五飛!(変化図)。
変化図
攻守要となる馬金取りで、これはゲームセットだろう。従って銀は取れない。
飛車を逃げるが、次の▲6八飛も好手。△同馬▲同金で急所の馬を外されてしまう。
後手、最後のチャンス
ただ、上の局面はまだ互角。△6三歩ならまだ粘れたようだ。
本譜は△5三銀打と固く受けたが、▲8一角が好手。攻めが筋に入ってしまった。
以下、木村九段も粘るが着実に迫られて負け。超早指し戦だけに仕方ないところもあるだろう。
しかし、中盤は確実に右玉側が優勢。右玉党はぜひ並べてみてほしい一局だ。
というわけで、右玉NOWは今後も木村一基九段を応援します!