【2021年10月版】将棋用ソフト用パソコンの選び方

将棋ソフト

掲示板にも質問があったので、将棋ソフトのためのパソコンの選び方を考えてみたい。

いきなり結論にはなるが、ほとんどの将棋ファンにとっては、一般的なノートパソコン程度のスペックで十分だと思う。

それでもトップ棋士よりも遥かに強いし、半分くらいの棋士は角落ちでも勝てないのでは? と思う強さだ。
気になる局面は時間をかけて検討させれば、ある程度精度も高くなるだろう。

一方で、棋士、女流棋士、奨励会員、アマトップのガチ勢、将棋ソフト開発者などは、少しでも強い方が良いのは間違いない。

佐々木大地五段曰く

森下卓九段が、古いノートパソコンでもAI(人工知能)を使った研究ができるか佐々木大地五段に尋ねたところ、やんわりと止められたという。「空母打撃群に竹やりで挑むようなものらしいですよ」とは森下九段の弁。

というわけで、プロ棋士であるならば、研究用にハイスペックなPCが必要なのは間違いないだろう。
ただし、金に糸目を付けずに最高スペックを求めてしまうと軽く100万円を超えてしまう。本気を出せば1,000万円を超える構成すら考えられるので、それは現実ではないだろう。
そこで、あくまでコストに見合った性能のパソコンを検討してみたい。

※一部アフィリエイトリンクもあります。苦手な方はリンククリックではなく検索してください。

NNUE系かディープラーニング系か

パソコンを考える前に、現在トップクラスの将棋ソフトを紹介したい。
異論がある人もいるかも知れないが、電竜戦長時間マッチでも対決した水匠4改dlshogiの2つがトップ2と言ってもよいだろう。
両者とも無償で公開されており、誰でも利用できる。開発者の皆様には感謝したい。

余談だが、「フリーソフトではなく、市販ソフトはもっと強いのでは?」と考える人もいるかも知れない。が、現状では有料ソフトでこの2つ以上の強さのものはない。ただ、有料ソフトはインストールが超簡単だったり、女流棋士の読み上げ機能や、レベルを落とした対局など付加価値も多い。ただ、プロ棋士や奨励会員が研究用途で使うにはおすすめしない。

話を戻そう。
水匠4改とdlshogiのどちらをメインに使うかということによっても、パソコン選びに影響する。

水匠4改はNNUE型でCPUの性能が強さに直結する。CPUのコア数も多ければ多いほど良い。GPUは性能には無関係だ。
一方のdlshogiはディープラーニング(深層学習)型で、CPUの影響はそれほどなく、GPU(グラフィックボード、グラフィックカード)の性能が強さに影響を与えるのだ。

研究に水匠4改しか使わない、というのであればGPUの性能は無視できるし、ディープラーニングの伸びを期待してdlshogi一本で行く、というのであればGPUを重視したほうがよいだろう。

今後、NNUE型とディープラーニング型のどちらがより強くなるかわからないが、現状ではほぼ互角といえるだろう。

【CPU】頂点に立つRyzen Threadripper 3990Xだが後継の登場も(※追記あり)

まずはCPUについて考えみたい。
ハイエンドのCPUといえば、64コアのRyzen Threadripper 3990Xが一歩抜けている。藤井聡太二冠が使っていることで有名で、渡辺明名人、阿部健治郎七段、佐々木勇気七段、木村一基九段らも利用しているとされている。ほかにも所有している棋士は多いだろう。

Ryzen Threadripper 3990Xは、「スレッドリッパー」という名前から「高級スリッパ」と呼ばれることもあり、価格は50万円以上。パソコンの価格ではなく、CPU単体での価格だ。

ただ、「Ryzen Threadripper 3990X」の発売は2020年2月と1年半以上前で、近いうちに(11月?) に後継の「Ryzen Threadripper 5990X」がリリースされるという噂。

※10/6追記 2022年に延期という話も出てきました

3990Xとの価格差はあるだろうが、5990Xを待つのも手かもしれない。

ところで、CPUといえばRyzenのAMDよりもIntelのほうが有名だが、Intelはデスクトップ向けハイエンドで多コアのCPUをリリースしていない(18コアの「Intel Core i9-10980XE」が最高)。将棋ソフトでの利用を考えれば、AMDがファートスチョイスとなるだろう。

続いてはコストパフォーマンスに優れたCPUを考えてみたい。

おすすめは、AMD Ryzen 5000シリーズ。
16コアのRyzen 9 5950Xは10万前後、12コアのRyzen 9 5900Xは8万円前後で購入できる。
8コアのRyzen 7 5800X、6コアのRyzen 5 5600Xもコストパフォーマンスが良くておすすめだ。Ryzen 5 5600Xなら4万円前後の価格で、搭載するパソコンは10万円台で購入できる。

【GPU】GeForce RTX 3090かGeForce RTX 3080 Tiが最高クラスだが高騰は続く

GPUは仮想通貨のマイニング需要やコロナ禍での半導体不足などの影響が多きく、現在高騰している。

デスクトップ用GPUのトップクラスといえば、「GeForce RTX 3090」。ただ、2021年6月に発売された「GeForce RTX 3080 Ti」は3090とほぼ同等の性能を持つ上に価格も安い。今選ぶとすればこちらだろう。「Ti」は性能アップ版だが、「GeForce RTX 3090 Ti」というGPUは現時点では存在しない。「GeForce RTX 3080 Ti」の価格は20万円前後だ。

AMDなら「Radeon RX 6900 XT」がハイエンドで、「GeForce RTX 3080 Ti」に近い性能で、価格も同程度。

コストパフォーマンスの面では、「GeForce RTX 3060 Ti」が比較的流通量が多く、8万円前後の価格でおすすめ。

さらに性能を落としたミドルレンジであれば、「GTX1660Ti」「GTX1660 SUPER」あたりもありだろう。

【メモリ】メモリはどれくらい搭載すればよいか?

メモリに関しては最低でも16GB以上はほしいところ。dlshogiはメモリ消費が大きいので、32GB以上ほしい。
メモリに関しては、あとから増設で増やすことも可能。ただし、本体(マザーボード)によって最大搭載量は異なるので、購入時に最大メモリ容量は調べておいたほうが良いだろう。

ノートパソコンではだめなのか

ここまでの話は基本的にデスクトップパソコンの話である。
ノートパソコンではだめなのか? という意見もあるかもしれない。ノートパソコンでもゲーミングPCなどれであれば、CPUとGPUの性能は高く、十分に実用的だろう。
ただし、コストパフォーマンスはデスクトップと比べると悪い。

どうしてもノートパソコンで動かしたいのであれば、ハイエンドのデスクトップパソコンを用意し、ノートパソコンからリモートデスクトップで繋いで利用する、という方法もあるのでおすすめだ。
デスクトップパソコンの電源が入る状態にしておけば、外出先からでも高性能パソコンを使った検討ができるだろう。

プロ棋士が使っているパソコンの性能は?

それでは、プロ棋士はどのくらいの性能のパソコンを使っているのだるか?

藤井聡太二冠

みんなが気になる藤井聡太二冠はパソコンにも詳しく、「Ryzen Threadripper 3990X」を購入したことを公言している。

昨年(2020年11月)にはGPUを購入し、ディープラーニング系ソフトも導入しているそう。
※2021/9/19追記 dlshogiだそうです。王将リーグ『将棋研究2.0』#2より

GPUの種類まではわからないが、おそらく当時ハイエンド(現在もだが)の「GeForce RTX 3090」である可能性は高いだろう。

渡辺明名人

Yaoo!JAPANに掲載された松本博文さんのインタビューで、税込130万円ぐらいのマシンを購入したとある。
#このインタビュー、長編ですが超面白いのでおすすめ!

渡辺明名人、1秒間に8000万手読むコンピュータを購入しディープラーニング系のソフトも導入(1)

写真からパソコンショップSEVENの以下のマシンではないかと噂されている。

ZEFT Gaming PC Ryzen Threadripper 3990X/RTX3090/メモリ128GB/m.2 SSD 1TB 価格com限定モデル

現在1,369,800円がセール中で1,149,800円(笑)
Ryzen Threadripper 3990X、GeForce RTX3090、メモリ128GBと文句なしのスペック。
Ryzen Threadripper 5990Xが出たら買うのだろうか。ちょっと気になるところ。

木村一基九段

王位戦獲得後のインタビュー(プロ棋士カラー名鑑)では、ソフトは佐藤名人がPonanzaに負けた頃から使い始め、自分より強ければなんでもよいと答えていたが、王座戦挑戦が決まったあとの東京新聞のインタビューでは

「そこは何でもいいと思ってますが、正月にパソコンは買い替えました。藤井さんが使っていたCPU(中央演算処理装置、AMD社のライゼン・スレッドリッパー)を搭載した高級機種。

と答えており、Ryzen Threadripper 3990Xを購入した模様。

阿部健治郎七段/佐々木勇気七段

電竜戦長時間マッチの解説として登場した阿部健治郎七段と佐々木勇気七段だが、やはりRyzen Threadripper 3990Xを購入したとのこと。プロ棋士界では、藤井聡太二冠が購入したこともあってかスリッパが流行しているようだ。

都成竜馬七段

AMD50周年モデルのようだが、詳細はわからず。写真をよく見るとコア数が16/32となっているので、CPUはRyzen 9 5950Xの可能性が高そう。

千田翔太七段

「AI時代の申し子」千田翔太七段が語るディープラーニング系ソフト「明確に強くなるのはこれから」

「まだわからないんですよ。どれくらい強くなるのか、急に強くなるのかわかっていないので。次第にディープラーニング系のソフトを活用していくことになるんでしょうが、まだ見通しは立っていないですね」

将棋ソフトに造詣が深い千田翔太七段だが、ディープラーニング系ソフトは導入していないとのこと。

パソコンをどこで買えばいいのか? 自作は必要?

それでは、将棋用パソコンはどこで買えばよいのか?
ひとつは自作PCという道で、ケース、電源、CPU、GPU、メモリ、ストレージなどを用意し、自分で組み立てる方法だ。
難易度は慣れていればプラモデル程度だが、近い知り合いにアドバイスしてくれる知り合いがいない限り、初心者にはあまりおすすめできない。

おすすめはBTOパソコンを販売しているパソコンショップで購入する方法だ。
スペックも細かく選ぶことができるし、完成品が届くので初心者にも安心。

有名な所で言えば、ドスパラマウスコンピューターFRONTIER
パソコンショップSEVENパソコン工房あたりだろうか。

自分は、ドスパラ、マウスコンピューター、FRONTIERで購入履歴があり、現在は2020年11月にFRONTIERで購入した

CPU:Ryzen 5 5600X
メモリ:16GB
ストレージ:[M.2 NVMe SSD] 1TB + [HDD] 2TB
GPU:NVIDIA GeForce RTX 3070

というスペックのパソコンを利用している。
当時の価格は、消費税と送料込みで179,080円。現在はGPUの高騰もあって、少し値上がりしてしまっている。

FRONTIERのセール
はお得なことがあるので個人的にはおすすめ。

今なら、FRGAB550/M361/NTK Ryzen 5 5600X/16GB/1TB NVMe SSD/RTX3060Ti
(税込み189,800円)あたりは良さそう(2021/11/11 15:00まで)。

というわけで、将棋ソフト用パソコンの選び方でした。
紹介したレベルのパソコンは将棋ソフトだけでなく、3Dの重いゲームや動画編集なども快適に動くので、そちらでも活用できるかも。

タイトルとURLをコピーしました