藤井聡太七段が再び右玉(風)作戦を採用! 高見叡王を下す

プロの右玉

藤井聡太七段といえば、先日右玉を採用して右玉党を歓喜させてくれたが、AvemaTVの超早指し戦で再び、右玉(風)の戦法を採用してくれた。

藤井七段の過去の右玉はエントリから。

右玉党待望の一局! 王座戦の対深浦九段戦で、藤井七段の右玉!
藤井七段、右玉指さないかなーと日々思っていたが、ついにそのときが来た! 王座戦トーナメントのvs深浦戦で、藤井七段が右玉を採用。まずは、以下の棋譜を並べてみてほしい。 2018-06-22 王座戦深浦康市 九段 vs. 藤井聡太 七段 第66期王座戦挑戦者決定トーナメント 相手に隙を与えない圧倒的な指し回し。

AbemaTVトーナメント棋譜は以下から確認してほしい。

2018-08-26 その他の棋戦髙見泰地 叡王 vs. 藤井聡太 七段 第1回AvemaTVトーナメント決勝トーナメント 第2局

期間限定(2018/9/1まで?)だが、無料で映像も見られる。

第1回AbemaTVトーナメントinspired by羽生善治 – 決勝トーナメント – 決勝トーナメント準決勝 高見泰地叡王 対 藤井聡太七段 | 動画視聴はAbemaビデオ(AbemaTV)

矢倉風の出だしから後手は右玉へ

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v金v玉 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v桂v銀 ・v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・v歩v角v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 角 金 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=40  △5二玉  まで

後手は一度、4一玉と移動してから5二玉へバック。右玉風の布陣となった。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v金v玉 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v桂v銀 ・ ・v銀v歩v歩|三
| ・ ・v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 角 金 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=42  △4四歩  まで

後手は4四歩から積極的に動く。4筋の歩を交換しつつ、銀を玉側に寄せていくのは右玉ならではの手筋だが、5二玉型なので、ちょっと動きすぎだったか。
超早指し戦なのでありかもしれないが。

後手の持駒:角 歩四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v金v玉 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v銀 ・ ・ ・v歩|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ 歩 銀 ・ ・|五
| 歩 銀 歩 ・v歩 金 ・ ・ 角|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二 
後手番
手数=61  ▲1六角  まで

生きた心地がしない1六角打。藤井七段は3四歩打の中合で凌ぐ。

右玉党も参考になる受けの技術

ここからは藤井七段の受けの技術を見ていきたい。右玉党にとって参考になる手順がいくつかある。

後手の持駒:角 歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v金v玉v歩 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v銀v金 ・ ・v歩|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 飛 ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ 銀 ・ ・|五
| 歩 銀 歩 ・v歩 金 ・ ・ 角|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩四 
手数=68  △4二歩  まで

銀も取れるところだが、4二歩打と落ち着いた先受け。
この4二歩が心強い壁となった。

後手の持駒:銀 歩四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ 銀 龍v香|一
| ・ ・ ・v玉 ・v歩 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・v金 ・ ・v歩|三
|v歩 ・v歩v桂 ・v金v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・v歩 金 ・ ・ 角|六
| ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・v馬 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 
手数=86  △6二玉  まで

6二玉は落ち着いた手。
この手を指さないと、4二銀成から飛車を抜く手がある。

後手の持駒:銀 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ 銀v歩v香|一
| ・ ・ ・v玉 ・v歩 ・ 龍 ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・v金 ・ ・v歩|三
|v歩 ・v歩v桂 ・v金v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・v歩 金 ・ ・ 角|六
| ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・v馬 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 
手数=88  △2一歩  まで

龍の位置を変える△2一打。
同龍なら歩で一手を稼げる。先手は3二銀だが、ここで4一銀と打って先手は固くなった。

超早指しでも詰みを読み切り

後手の持駒:銀 桂 歩四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・v銀 銀v歩v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v玉 ・v金 ・ 龍v歩|三
|v歩 ・v歩v桂 ・v金v歩 ・ ・|四
| ・v桂 ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 金 ・ ・ 角|六
| ・ 歩 ・ 歩v馬 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩 
後手番
手数=101  ▲6八金  まで

上の局面は後手が銀を取りつつ王手をしたところに6八金と移動合したところ。
解説の森内九段も「ここでいい手があれば勝てそうですね」と解説。
いろいろな手が見えるところだが、実は詰みがあった。
藤井七段は当然のごとく逃さない。
詰みがあるとわかっていれば、読み切れる人も多いだろう。

後手の持駒:金 銀 桂 歩四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・v銀 銀v歩v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v玉 ・v金 ・ 龍v歩|三
|v歩 ・v歩v桂 ・v金v歩 ・ ・|四
| ・v桂 ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 金 ・ ・ 角|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ ・v馬 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩 
手数=102  △6八馬  まで

バッサリと同馬が正着。
同玉に対して、5六桂打の継ぎ桂が好手。

後手の持駒:金 銀 歩四 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・v銀 銀v歩v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v玉 ・v金 ・ 龍v歩|三
|v歩 ・v歩v桂 ・v金v歩 ・ ・|四
| ・v桂 ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・v桂 金 ・ ・ 角|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 歩 
手数=104  △5六桂  まで

以下、7八玉に6九銀と打ったところで、高見叡王投了。
8八玉、7六桂、9八玉、8八金打までの詰みとなる。

……というわけで、正確には右玉ではないかもしれないが、藤井七段が右玉風の布陣で勝利した一局。
右玉党が参考になる手筋も多数ある好局でした。