2019年4月15日に行われた棋王戦予選で、後手の佐々木大地五段が右玉を採用したので紹介したい。
先手は石田直裕五段。加古川青流戦優勝、新人王戦準優勝などの実績がある。
棋譜は以下からどうぞ。
第45期棋王戦予選 石田直裕五段-佐々木大地五段
佐々木大地五段は1月にも、同じ形の右玉を採用して広瀬竜王に勝利している。その一局は以下のエントリで確認してほしい。
佐々木大地四段が右玉で広瀬竜王を撃破!
2019年1月18日の王位戦予選で、佐々木大地四段が広瀬竜王に対して、変則的ながら右玉を採用してくれた。 佐々木大地四段といえば、若手強豪。本対局の直近12戦で11勝1敗と好調だ。 昨年度は王位戦挑戦者決定リーグにも進出している。 一方の広...
また、佐々木五段に破れた広瀬竜王も本局と同じ形の右玉を3月の対局で採用しているのでそちらも参考にしてほしいところだ。
広瀬竜王が中村太地七段に対して右玉を採用!
2019年3月25日に行われた棋聖戦予選で、後手の広瀬竜王が右玉を採用してくれた。 広瀬竜王はいわずと知れたトッププロ。振り飛車から居飛車への転生も華麗にこなした。 対する中村太地は王座経験のある実力者。将棋フォーカスでもお馴染み。 両者はともに早稲田大学出身で、早稲田OB対決でもある。
序盤は角換わりの流行型
序盤は角換わり腰掛け銀。両者とも飛車を引く流行型に。
後手は飛車を4筋に回す。この形ではよくある手だ。
後手、4三金型の右玉へ
後手は6ニ玉として右玉へ。6三金型の変則タイプで、一部ではセカステ右玉とも呼ばれる。先に紹介したとおり、広瀬竜王を右玉で撃破した形と同じだ。
お互い手待ちで仕掛けを見送る
後手が4ニ銀と引いた手に対して、先手は4七金。広瀬竜王は4五歩と仕掛けていた(参考)。
広瀬竜王はこの形を後手でも持っており(対中村太地七段)、中村七段は6七銀を選択している(参考)。
ここからお互いに攻めを見送り、呼吸を図ってこの形に。
右玉、薄い形から仕掛ける
右玉はかなり薄い形だが、佐々木五段は6五歩を敢行する。
ソフト的にはやや無理めの仕掛けのようだが……。
同歩、同桂に6八銀と引いたところに3五歩が桂頭を狙う一手。
以下、同歩、3六歩で桂頭の歩は実現したが、すぐに桂馬は取らず、飛車先の交換、6六歩の叩きなど経て、9五歩。
同歩、7五歩、同桂で3七歩成と桂馬を奪取。同金に、7七桂打の王手銀取りが決まった。
ただ、形成はまだ互角。
後手、細い攻めをつなげる
後手の3九角打が急所の一手。
すぐに取られてしまいそうな角だが、この角打ちのあと、6七銀と放り込めば角は死なない。
6七銀打、同銀、同歩成、同玉、5八玉、5七角成と進行。
後手の攻め筋に入っているが、これで後手は持駒がないので攻め切るのは容易ではない。
後手は1三桂! が好手。
変えて5六馬は先手有利になる。
先手は7四桂の王手を決めて、5ニ玉に7ニ銀打。痛打だが、ここで2五桂が大きな一手。詰めろではないが、先手は飛車を取る予定はなく相手をしなければならない。
先手間違えて一気に決まる
少し局面が進み、先手が6七金と馬に当てた手がソフトによると悪手らしい。
変えて7七桂と跳ねていれば、まだ互角だったようだ。
以下、4七銀打、5七金、同銀成で後手投了。詰めろを受けるても難しいので仕方ないだろう。
というわけで、佐々木五段はこの形を2回持って2連勝。かなり研究しているはずで、今後も公式戦で似た形が見られるかも知れない。楽しみだ。
というわけで、右玉NOWは今後も佐々木五段を応援します!
この日はもう一局右玉模様が
この日(2019年4月15日)はもう一局、右玉模様の将棋があったので簡単に紹介したい。
2019-04-15 王将戦三枚堂達也 六段 vs. 森下 卓 九段 第69期大阪王将杯王将戦一次予選
後手の森下九段が早々に玉を右に寄せて、7ニ銀型の変わった右玉へ。
しかし、この時点ではかなり苦しい形で先手優勢。森下九段に誤算があったかもしれない。
本局は59手で先手の三枚堂六段の勝利となった。