2019年6月20日に行われた順位戦C級2組の対局で梶浦宏孝四段が右玉を採用してくれた。
梶浦四段は現在23歳の若手棋士。今年度7勝1敗と好調で、2019年に入ってからは14勝4敗という好成績を残している。元は振り飛車等だが、現在は居飛車党。
対するのは出口若武四段。梶浦四段と同世代の若手で、奨励会時代に新人王戦決戦三番勝負まで進出した実績が。この対局が順位戦のデビューとなる。
本譜は、角換わりから梶浦四段が流行中のセカステ右玉の形で戦う流れになった。
棋譜は以下からどうぞ
2019-06-20 順位戦 梶浦宏孝四段 – 出口若武四段
後手の梶浦四段、セカステ右玉へ
序盤は角換わり腰掛け銀。飛車を引いた最新形だ。
後手は玉を右に寄って飛車を4筋に回す。
ここで手待ちケースもあるが、右玉の可能性ができた。
後手はセカステ右玉へ。最近プロ棋戦でもよくでてくる形。
どのような例があるかは、右玉NOWの「セカステ右玉」カテゴリも参照してほしい。
先手、歩の突き捨てで開戦
後手が銀を4二に引いた瞬間、先手は4五歩と開戦。
王位戦広瀬-佐々木大地戦で同じ局面がある。
佐々木大地四段が右玉で広瀬竜王を撃破!
2019年1月18日の王位戦予選で、佐々木大地四段が広瀬竜王に対して、変則的ながら右玉を採用してくれた。 佐々木大地四段といえば、若手強豪。本対局の直近12戦で11勝1敗と好調だ。 昨年度は王位戦挑戦者決定リーグにも進出している。 一方の広...
後手の4三銀に対して、1五歩、同歩、2四歩、同歩、4四歩、同銀と突き捨てていき、2二歩打!
この歩を同金と取ると、1五香、同香、4二歩打が厳しい(下変化図)。
変化図
この局面は先手有利(評価値+600以上)
同飛は3一角打、飛車を逃げると4四飛がある。
後手は2二歩を相手せずに2六角打!
この手が好手。桂取りはもちろん、4四銀にヒモがついて4二歩打も防いでいる。
セカステ右玉ではよく出てくる手筋だ。
本譜は2一歩成、3七角成と進行。
この局面は後手よりの互角。右玉満足と言えるだろう。
先手は飛車取りは無視して、1一と。
後手は4八馬で飛車を取る。同金に、8一飛と転回する。
右玉の反撃は手筋の8六桂打!
手が広い局面だったが、先手の攻めは4七香打。歩切れなので1五香もあったかもしれない。
4五歩、同香、同銀、同銀と進行。この局面で、後手は攻めの手を選ぶ。
8六桂打!
対矢倉の手筋をここで発動。
5四銀、7八桂成、同玉、5四歩と進行。ここで先手は手が広い。
5六角打!
対右玉でよくある角打ちだが、緩手だったか。形勢は大きく右玉側に傾いた。結果的に敗着だったかもしれない。
梶浦四段、17手詰みを読み切って寄せる
終盤の局面。後手は4八香成としたが、角筋が通って、後手も怖いところ。
4四銀打、同金、同角に5三香と受けたところに、7二銀。王手ではないが、取るしかないので送りの手筋に近い。
7二同玉、5三馬の局面が詰めろではないので、後手は4九龍!
これで大勢は決まったか。
6三金打に8三玉と逃げたところで7九金と受ける。
ここから梶浦四段は流れるように寄せる。
8六桂!
本日二度目の8六桂打。同歩に5八成香で、8七玉と早逃げ。
。
しかし、この局面は詰みがあった。
17手詰めなので自信のある人は考えてみてほしい
8六歩、同銀に7八銀打! が華麗な決め手。
出口四段はここで投了。
以下、同金が一番粘れるが、8九龍から詰み。
同玉は、8九龍から詰む。
というわけで、梶浦四段がセカステ右玉で快勝した一局でした。
右玉NOWは今後も梶浦四段を応援します!