叡王戦予選で、阿部光瑠六段が先手で角換わり右玉を採用してくれた。
阿部光瑠六段は5月にも右玉で勝利したばかり。
阿部光瑠六段が後手右玉で勝利!
2019年5月8日に行われた新人王戦トーナメントで、後手の阿部光瑠六段が右玉を採用した。 阿部光瑠(こうる)六段は、電王戦での勝利経験もありソフトにも詳しい若手強豪。棋風はオールラウンダー。 一方、先手の出口若武(わかむ)四段は今年四段に昇...
この対局は後手セカステ右玉だったが、今回は先手右玉。
前日の羽生九段も採用したように、プロでも先手右玉が増えている。右玉はもはや後手番だけの戦法とは言い切れないようになってきたかもしれない。
対するのは瀬川晶司六段。同日の対局で西川六段を破って勝ち上がり。この日2局目の対局となる。
棋譜は以下からどうぞ
2019年6月25日14:00 瀬川晶司六段 対 阿部光瑠六段
ニコ生の放送は以下から
【将棋】第5期叡王戦 六段予選 瀬川・西川・阿部
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先手右玉に対して後手は早繰り銀へ
戦形は後手番一手損角換わり。対して先手は3七桂と跳ねて、スキがあれば4五桂跳ねを狙っていく。4五桂跳ねは右玉との相性もよいので、右玉党も覚えておきたい作戦だ。
先手は2筋を伸ばさず4五桂跳ねは狙わず、右玉へ。後手は早繰り銀の体勢。
瀬川六段の強手が炸裂して後手有利に
後手は8筋から銀交換。対して先手は7二歩と垂らすが、この手は疑問手。形勢はやや後手に流れ、先手は苦労することになる。
7二歩に変える手をソフトで検討すると、次々に最善手が変わるが8七歩打で収めるのが結局は良さそう。
後手は、1五歩。この手が好手で右玉が厳しい。
同歩とされたあとの継続する3手を後手の立場で考えてみてほしい。
1五歩に対して、同歩、1八歩打、同香に2七角打!
角捨てで飛車を成り込みを狙う強手だが、恐ろしいことにこの手が成立してしまう。
同飛と取るしかないが、8九飛成は当然ながら厳しい。
評価値は後手に460ほど。
後手うっかり? で互角に戻る
少し進んだ局面。ソフト評価値は1000以上後手にプラス。
しかし、次の手順はうっかりだったか。
8五桂跳ね。遊んでいる桂を跳ねる手だが……。
6七角打が龍桂取り。ここで7七桂成ならまだ有利だったが、9九龍。
8五角と桂を取りつつ、好位置に角がきて評価値は互角に。
先手も緩手で再び形勢は後手に流れる
少し進み、角の王手を8五銀打で強く受けたところ。この局面は互角ながらわずかに先手よし。
7八角と逃げた手は緩手で形勢は後手有利に。ここで後手にいい手順がある。
5九桂打でしっかり受けておけば、後手から速い攻めはなかった。
6六桂!
タダの場所に跳ねる手が好手。角金取りなので、同金とするしかないが……。
3九角打が間接的に王手金取り。後手が再び優勢に。
先手、逆転で勝利
さらに進み終盤。後手は、3二金取りがかかっているが、2六金打と飛車取りで勝負。
しかし、この手は緩手で評価値は先手に振れる。
先手は1九飛と逃げたが、飛車を見捨てて3二角成がよかったようだ。
3六歩、同銀、同金として、3二角成。
先手玉は馬も利いていてかなり怖い格好だが、まだ大丈夫。これではっきりと先手が優勢に。
5七銀に5四桂打! が寄せの好手。
4三馬からの詰めろになっており、5八銀とはできない。
桂馬を取り切れずに6一玉と逃げるが、6三銀打の追撃。
4八銀成、同金、6三銀、同桂成で後手投了。
最後は大逆転となって、先手の勝ちとなった。
序盤に形勢を損ねたものの、阿部光瑠六段の逆転勝利。瀬川六段に派手な手が多く、勝ちきれていれば快勝譜となっていたであろう。
ともあれ、右玉NOWはこれからも阿部光瑠六段を応援します!