羽生九段が連採し、右玉党の中でも話題になっている7二金型の右玉。
今後もプロ棋戦で登場する可能性は高いので、取り上げてみたい。
7二金型テーマ図
今回のテーマ図。羽生九段が短期間に2回採用し、2回とも勝利したことで話題になった。一手損角換わりで、対早繰り銀に対して使用する。
羽生善治九段が一手損角換わり右玉で勝利!
2019年5月20日に行われた王座戦挑戦者決定トーナメントで、後手の羽生善治九段が右玉を採用してくれた。 羽生九段は言わずとしれた棋界のスーパースター。オールラウンダーの棋風もあって、過去に右玉を採用したことも当然ある。 対するのは近藤誠也...
羽生マジックも!? 羽生善治九段の7二金型一手損角換わり右玉が炸裂!
前回までのあらすじ 王座戦挑戦者決定戦トーナメント、先手の羽生九段は右玉を採用し優勢に進めるものの、後手の佐々木大地五段がうまく対応して千日手に持ち込まれる。 そして、深夜22時03分から指し直し局、羽生九段は再び右玉を採用する。 今度は後...
この形のメリットは
・一手損角換わりの天敵である早繰り銀対策であること
・2四歩をワナとして誘っていること
・早繰り銀側もそれほど研究していないだろうということ
・右玉対策本でも恐らく対策されてないこと
(対策されてなかったよ!)
デメリットは、先手陣と比べると玉周りが薄いということだろうか。
7二金型にするタイミング
7二金型は、一手損角換わりから派生する。
△7二金と指すタイミングは、早繰り銀を明示する▲4六銀が指されたあとがよいだろう。
右玉を完成してテーマ図へ
△8一飛を入れてから、△6二玉と移動して右玉にする。
先手から▲3五歩、△同歩、▲同銀、△8四飛、▲7九玉としてきたところで、△1四歩を入れてテーマ図へ合流する。
先手から2四歩は成立しない
この作戦で気になるのが、先手から▲2四歩と仕掛けること。
対策は必ず知っておこう。
▲2四歩に、△同歩、▲同銀のときに△2七歩打とするのが大事な一手。
▲同飛は△4九角打で先手優勢。
▲2八飛としてきた場合も、△4九角打で先手優勢だ。
先手は▲4八飛が最善だが、△5八角成、▲同飛、△3四銀で2枚換えとなる。
先手の候補手は▲4六銀と▲6八金右
先手の候補手は実戦でも指された▲4六銀と▲6八金右がやはり有力だ。
近藤六段が指した▲4六銀は最有力
近藤六段が指した一手(参考)は、最有力。
羽生は△3一飛としたが、△4四歩や△4四銀なども有力。
その後の展開は、あとで紹介するソフト同士の実戦例を参考にしてほしい。
△4九角打を消す▲6八金右
▲6八金右は佐々木大地五段が指した一手(参考)。こちらは、△2四歩からの△4九角打を消す一手。
こちらも一局。ソフトは△4四銀を推奨しているが、佐々木戦同様、△8五桂が成立してそうなので、
△8五桂を推奨したい。
その後は、何度も△4九角打をする展開になるので、佐々木戦は必ず並べておこう。
先手の候補手▲4六銀と▲6八玉以外が指された場合は?
じっと手を渡す▲1六歩
じっと▲1六歩は実戦でありそう。この場合は△4四銀とぶつける。
先手は▲4六銀が最善だが、そこで、△3三桂と跳ねて攻めていく、
▲8八玉と入城する
▲8八玉の入城は、△8五桂と跳ねていけば、有利を拡大できそう。
▲8六銀、△4九角打が進行の一例。
△8五桂に▲6八銀と引いたら、△9五歩からの端攻めが成立する。
▲同歩、△9七歩打、▲同桂、△5五角打などが進行例となる。
ソフトに引き継がせると結果はほぼ互角
テーマ図から1手30秒でソフトに対局させてみたところ、結果は7勝8敗4千日手1持将棋と後手番としては、まずまずの結果に。
右玉が勝った棋譜
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0_20190629_110414.kif
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0_20190702_34846.kif
0_20190702_43823.kif
0_20190702_75419.kif
0_20190702_93135.kif
引き分けの棋譜
1_20190629_45623.kif
1_20190629_120835.kif
1_20190629_123046.kif
1_20190702_55055.kif
1_20190707_114357.kif
右玉が負けた棋譜
2_20190629_61701.kif
2_20190629_72514.kif
2_20190629_81854.kif
2_20190629_91811.kif
2_20190702_83601.kif
2_20190702_103851.kif
2_20190702_111928.kif
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プロ棋戦での再登場を期待
というわけで、最先端の右玉の形の紹介でした。羽生九段が2勝したとはいえ、形勢はほぼ互角だったので、今後もプロ棋戦で出現してもおかしくない。一手損角換わり対早繰り銀の局面になったら、期待して観戦しよう。