2019年9月12日に行われた順位戦C級2組の対局で、阿部光瑠六段が角換わり右玉を採用してくれたので紹介したい。
阿部光瑠六段は24歳の若手棋士。電王戦で習甦に勝利したことでもおなじみのオールラウンダーだ。
右玉も公式戦で何度か指している
叡王戦予選、阿部光瑠六段が先手角換わり右玉で形勢を悪くするも逆転勝利!
叡王戦予選で、阿部光瑠六段が先手で角換わり右玉を採用してくれた。 阿部光瑠六段は5月にも右玉で勝利したばかり。 この対局は後手セカステ右玉だったが、今回は先手右玉。 前日の羽生九段も採用したように、プロでも先手右玉が増えている。右玉はもはや...
阿部光瑠六段が後手右玉で勝利!
2019年5月8日に行われた新人王戦トーナメントで、後手の阿部光瑠六段が右玉を採用した。 阿部光瑠(こうる)六段は、電王戦での勝利経験もありソフトにも詳しい若手強豪。棋風はオールラウンダー。 一方、先手の出口若武(わかむ)四段は今年四段に昇...
対するのはこちらも若手・大橋貴洸五段。カラフルなスーツでも有名だ。
この対局は角換わりから後手の阿部六段が早めに右玉にし、大橋五段が右玉の理想形を咎める積極策に出る。
棋譜は以下からどうぞ
2019-09-12 順位戦大橋貴洸 五段 vs. 阿部光瑠 六段 第78期順位戦C級2組4回戦
阿部六段、早めに右玉を明示
角換わりの将棋で早めに△6二銀を選択して右玉へ。
プロ棋戦ではかなり珍しいかもしれないが、最初から右玉にすると決めていたのかもしれない。
大橋五段、右玉を咎める7五歩
9筋の端を突き合ったあと、先手の大橋五段は右玉の理想形を阻止する▲7五歩を選択。
ソフトも候補の1つとして上げている。
後手は▲7五歩を逆用すべく△7四歩!
▲同歩、△同銀、▲4八金、△7三桂。
これは右玉も不満はないだろう。ソフト評価値は互角。
先手、4筋から仕掛ける
先手は▲4五歩から仕掛ける。
取ると▲同桂から攻めが加速しそうだ。
後手は△8一飛で地下鉄飛車を完成させる。
▲4四歩、△同銀、▲5六銀。
ソフトによると、この局面は右玉やや有利。
ソフトの読みは△7六歩打!
以下、▲同銀、△7五歩、▲6六角打、△7六歩打。
本譜は△6五桂という積極的な手。以下、▲6六銀、△3五歩。
先手の軽手▲7三歩打
ここで先手の▲7三歩打は好手。
△同玉は5二金のヒモが外れるほか、7四銀を攻められたときにアタリが強いので取りにくい。
……が、ソフトの読みは堂々と△同玉だった。
本譜は△6三銀と引く。先手の主張が通った形だろう。
右玉やや有利に
少し進んだ局面で後手の手番。ここで好手がある。
△1五角打!
▲1六飛、△3七角成、▲同金、△7六桂打!
強引に桂馬を取ってのふんどしの桂。どうやら成立しているようだ。
▲5八玉、△8八桂成、▲8五角打。
飛車先を止めつつ、先手陣に驚異を与える。
この時点では右玉やや有利。
本譜は△8四歩打。この手も悪くないが、△3三桂と跳ねる手もあったようだ。
先手の強引な攻め&後手の受け
少し進んだ局面で成桂を角に当てたところ。ここからの攻めは強烈だった。
▲7四角で角切り!
△同銀に▲6四桂打。
△7一歩打で受けるが、▲7二銀打!が強烈な放り込み。
△8五飛と逃げるが、▲5二桂成、△同玉、▲3四角打。
先手の攻めは細く見えるが、受け切るのも大変だ。
△6二玉に、▲6三金!
ここで後手は△7二歩で銀を外す。
しかし、この手が結果的に敗着になってしまったかもしれない。
ソフトが示す受けの手は△5二角打!(以下、変化図)
変化図
ソフトはこの手で互角とのこと。しかし、かなり打ちにくいか。
以下、▲同角成、△同玉、▲7四金、△7七成桂、▲4七玉、△8九飛成。
本譜は△7二歩のあと、▲7四金、△5四銀打で粘るが、以下はチャンスがなかったかもいしれない。
というわけで、右玉を持った阿部光瑠六段の負けになってしまったが、終盤まで互角の名局だったとおもう。
右玉NOWは今後も阿部光瑠六段を応援します!