2019年11月1日に行われた王位戦予選で、渡辺大夢五段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
(ちなみにこの日に指された右玉は公開されている棋譜だけで3局! 右玉デーである)
渡辺大夢五段は、奨励会三段リーグで2回の次点を取ってフリークラスでのプロ入りをした苦労人。2015年に順位戦への昇級を決めた。居飛車党である。
対するのは渡辺明三冠。現在、豊島名人と並び棋界最高の実力者と言えるだろう。10代の頃からトップ棋士だったが、全盛期は今かもしれない。
棋譜は以下からどうぞ
2019-11-01 王位戦渡辺 明 三冠 vs. 渡辺大夢 五段 第61期王位戦 予選
本譜は一手損角換わりから先手が早繰り銀を選択し、後手は5二金型右玉を目指す。
後手の整備が終わらないうちに、先手は仕掛ける。
36手目で右玉が完成したときは先手やや作戦勝ちかも知れない。
アマ同士なら差はないと言えるが、渡辺三冠相手では苦しい差。実際、この先、右玉に大きなチャンスはなかった。
17手目の局面は右玉党テーマの場面。
普通に右玉にしてしまうと作戦負けとなってしまう。
△4二飛など、四間飛車にする戦い方もある。
以下のエントリも参考にしてほしい。
ちなみに36手目の局面で、5二金型ではなく羽生九段愛用の7二金型ならどうか?
こちらもわずかに先手がよさそうだが、互角。ソフト評価は7二金型のほうがやや上になっていそうだ。
その後、先手は8八に入場。右玉は4筋に飛車を振る展開。
46手目時点で右玉側も悪くなく見えるが、ソフト評価は+500以上先手有利。
50手目の△4九角打は、右玉の手筋。この手は知っていないと指せないと思うので、覚えてほしい。
この角は簡単には死ななない。狙いは、△3八歩打からのと金作り。
本譜は狙い通りと金はできたが、渡辺三冠の対応も正確だった。
と金が活躍する展開にはなったが、先手の攻めが早い。
後手の必死の攻めも正確に受けられて後手の渡辺大夢五段が投了。
渡辺明三冠の強さが際立った一局となった。
しかし、右玉NOWは今後も渡辺大夢五段を応援します!