2019年12月18日に行われた順位戦B級2組の対局で、先手の澤田真吾六段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
澤田真吾六段は居飛車党の若手棋士。角換わりを得意としているが、本局は角換わりなし。10月2日の順位戦でも右玉を採用している。
対する後手は、中村太地七段。将棋系テレビ番組でもおなじみの元王座である。最近はクイズ番組にも進出中。
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角換わりなしの先手右玉 vs 穴熊へ
序盤は先手が雁木模様、後手が矢倉模様から、先手はいったん6一まで進めた玉を右に引っ越して右玉へ。4筋の位を取っていることもポイント。右玉にした時点の形勢は互角。
後手は穴熊に組み換え、先手は4筋の位を活かし、4六へと角を進出させた。
はっとする桂跳ねからの仕掛け
右玉は▲6五桂からの仕掛け。歩の前に跳ねるのではっとするが、△同歩は▲7三角成でゲームオーバー。というわけで、後手は△同桂。
54手目、△8六歩が自然な手に見えてソフトによると悪手。以降、形勢は後手には振れず先手に流れていったので、この手が敗着という可能性すらある。
完璧なタイミングの端攻め
先手は56手目の▲1五歩が素晴らしいタイミング。
1筋は5三にいる角が狙っている上に、8筋の飛車先も通っているので反撃が怖いところだが、この状況で端攻めが指せることは素晴らしい。右玉党にとって参考となる一手だ。
後手はこの手を取り切れず△3二金と固めるが、▲2六桂打が手筋の一着。この桂打ちも覚えておきたい。
60手目、後手の△2七桂打も手筋。タダだが、取れば△8九飛成
と成り込まれる。が、堂々と▲同飛としたのが好手だった。
△8九飛成に▲7九金と弾くことができたのは4六角の効果。この対局は好位置にいる角がよく効いている。
後手の攻めを見切って寄せ切る
終盤、先手は香車に角と銀を取らせている間に寄せへ。
90手目の局面は後手に9手詰めが発生していた。
93手目▲3四桂と跳ねた手を見て後手は投了。
以下、詰み手順は△3三玉、▲4五桂打、△4四玉、▲3五金、△4三玉、▲4二金打。
というわけで、先手は悪手らしい悪手がなく完勝といえるだろう。角換わりなしの右玉の棋譜としてお手本になるはずだ。
右玉NOWは今後も澤田真吾六段を応援します!