前回までのあらすじ
右玉の起源を調べるため、1956年発行の「平手将棋総まくり」を手に入れたものの、右玉とは無関係だった……。

今回は国会図書館のNDL ONLINEで「右玉」検索してヒットした最古の棋書「将棋一手千盤」を購入したので紹介したい。
こちらが手元に届いた「将棋一手千盤」。サイズはB6。前回の「平手将棋総まくり」よりもさらに古さを感じる。ちなみに購入価格は1,409円。
奥付を確認すると、初版は大正四年! 1915年である。購入した本は二十三版で昭和二年発行。1927年。初版から12年も経過している恐るべきベストセラーだ。その分世に出た数も多く、戦前の本で保存状態がよいのにそれほど高くないのかもしれない。
著者兼発行者は酒井福次、講評は高村徳次郎となっている。
右ページには良いことが書いてある。
将棋を上達する近道というて別に変わった手段もないが各自が一日の余暇に将棋を研究なさる心なればその余暇の長し短しによって或いは定跡を調べる、或いは古今名家の指将棋をさし試みる、或いは一局の詰を研究するのにある、云わば気の抜けぬ様に日一日と研究するが上達の近道である。
(一部漢字は現代のものに修正)
心に留めておきます!
1ページ目には著者の写真がある。奥付にはないが、実際の著者は高村徳次郎五段と森本一郎二段、校閲が関根金次郎(十三世名人)ということだろうか?
目次はこんな感じ。定跡、指将棋、詰将棋の三部構成になってる。
駒落ちが多いのは戦前という感じ。段位差による推奨する駒落ちの表もあった。
さて、肝心の右玉があるかどうかだが……。
なかった!
やはり「将棋一手千盤 : 定跡講義」とは別の本なのか。 最終的には国会図書館に行って確認するしかないかも知れない。
せっかくなので、「将棋一手千盤」についてもう少し見ていきたい。
終盤は詰め将棋。
かなり有名な問題もあった。解いたことがある人は多いかも。
気になったのはこの問題。7手目が間違っていて、読者の方の校正が入っている。二十三版まで修正されていないのはある意味すごい。
というわけで、残念ながら今回も右玉の起源はわからなった、という結果に終わってしまった。
続きは以下!
