2020年1月20日に行われた王座戦二次予選で、後手番の山崎隆之八段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
山崎隆之八段といえば関西の人気棋士。一手損角換わりも得意にしていて「山崎隆之の一手損角換わり」という棋書も出している。なお、現在、Kindle Unlimitedに加入していれば読み放題で読める。
対するのは畠山鎮八段。居飛車党で相掛かりを得意にしており、相掛かりからの右玉という作戦も採用することがある。こちらも右玉党は注目したい棋士だ。
本譜は山崎隆之八段が一手損角換わりから7二金型右玉採用。手待ちをしつつ玉が激しく移動する展開となった。
棋譜は、スマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」からどうぞ。
一手損角換わり7二金型右玉再び!
一手損角換わり7二金型右玉とは、羽生善治九段が2019年にたくさん指したことで有名になった戦法。詳しい歴史や最新状況は「羽生善治九段も愛用! 7二金型右玉インデックス」というページにまとめてあるので参考にしてほしい。
ストレートに一手損角換わりから右玉にするには、8八銀・6八玉型の早繰り銀に対して苦しそうなので数は減っているが、絶滅したわけではなく2日前(1月8日)にも渡辺大夢五段が採用している。
本譜は先手が比較的はやめに5八金と7八金を決めたので、後手番にも7二金型右玉にする余裕が生まれた。先手が8八銀・6八玉型で攻めてきた場合の山崎八段の作戦もしりたかったところだ。もしかしたら、四間飛車にする作戦も考えていたかも知れない。
後手番は待機作戦
後手番は角換わりによく見られる待機作戦。右玉だったのは一瞬で、△5二玉から△4二玉へと移動。一般的な角換わりの形に戻った。
先手は▲4五桂から仕掛け。この仕掛けは成立していそうだったが、受けの強い山崎八段だけに決め手を与えない。
なお、62手目の局面は、▲2二角成と角を切る手があったかもしれない。それでも局面は難しそうではあるが。
玉の大移動
本譜は先手が攻め切るか、後手が受け切るかという将棋に。
後手玉近くでの戦いが続くが、後手玉はスルスルと逃げていき、90手目には5五の天王山まで進出。最終的には先手の攻め駒を取り切り、後手快勝となった。
というわけで、2日前に引き続き7二金型右玉(右玉だったのは一瞬だったが)の勝利。2020年も見逃せない戦型と言えるだろう。
右玉NOWは今後も山崎隆之八段を応援します!