2020年3月11日に行われた順位戦B級2組の対局で、後手番の大石直嗣七段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
大石直嗣七段は19歳でプロ入りした現在30歳。NHK杯ベスト4、2回の王位リーグ入りの実績がある。振り飛車も指すが、基本居飛車党。力戦型も得意にしている。ダイレクト向かい飛車の著書あり。
対する先手は中村太一七段。王座の経験があり、タイトル挑戦も4回を誇るトップ棋士。イケメン棋士としても有名でテレビ番組への出演も多い。
本局は角換わりから後手が右玉、さらにセカステ右玉へと組み替える展開となった。
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後手、セカステ右玉へ
角換わりから後手はストレートに右玉へ。対する先手は4七銀型。後手は、△5四銀と繰り出してから▲6三金。いわゆるセカステ右玉の形になった。この時点での評価値は互角。
後手、早逃げで戦場を回避する
細かい駆け引きから先手は51手目で飛車を6筋へ。先手は4筋から仕掛けて、▲2六角打と設置。先手としてはこの角を活かしたい。
お互いに控えの桂を打ち合ったあと、後手は戦場を避ける早逃げ。右玉の手筋で、戦場に近い場合は早めに玉を逃しておきたい。
81手目時点では先手の攻めが突き刺さっているようだが、82手目の△6八歩打が好手。飛車筋をそらしたことで、攻めを緩和しこの時点では後手有利に。
後手、攻めきれず
93手目▲同桂とした場面はソフト評価値で後手優勢。後手は、△7六桂打と8七の歩を支えながら攻めを見せたが、△6六桂打と直接的に7八の金を狙いに行ったほうが良かったようだ。
105手目△2四玉が敗着か。△同銀でまだ互角だったかもしれない。
106手目、▲9一角成! が好手。△同飛は▲2五香打から詰む。以降、中村七段が確実に寄せて、先手勝利となった。
というわけで、セカステ右玉の構想はうまく行っていたと思うが、逆転負け。しかし、セカステ右玉を指す人には参考になるはずだ。
右玉NOWは今後も大石七段を応援します!