2020年3月19日に行われたヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメントで、後手番の佐藤天彦九段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
佐藤天彦九段は、言わずとしれた元名人で、関東を代表する棋士の一人。2017年の名人戦でも右玉を採用している。
2017年の名人戦は右玉シリーズだった! 後半 名人の超硬い右玉!
前回までのあらすじ 2017年の名人戦第3局は右玉を採用した稲葉八段が勝利! そして、迎えた第4局。 今度は佐藤天彦名人が右玉を採用するのであった……。 アマチュアの右玉でもよく見かける対4七角打ちの戦いになっており要注目! 棋譜は以下から...
対する先手は船江恒平七段。ふなえもんの愛称でもお馴染み。多数のプロ棋士を排出した加古川将棋センター出身で、第一回加古川青流戦覇者でもある。
本局は後手が右玉を志向するが、駒組みが終わる前に先手が仕掛ける展開となった。
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先手、早繰り銀で仕掛ける
序盤は矢倉模様から、先手が早繰り銀を見せる。後手は戦場を避けるべく、△6二玉と右玉へ。お互いに不安定な玉形のまま開戦することになった。
後手は36手目4三銀打など、駒を投入してしっかり受ける。
先手は▲1六角打と右玉崩しの手筋。対する後手は、3筋に厚みを築いていく展開に。
先手、金捨ての妙手から優位に
63手目▲2六金はタダで金を捨てる妙手。ここから形成は先手に傾いていく。後手は右玉らしい(?)薄い玉になるが、広さを生かした粘るに入る。
先手寄せ切るか? 後手入玉するか?
105手目▲2二飛の時点は、先手が寄せ切るか、後手が入玉するかという瀬戸際に。ここからお互いにプロらしい応酬がはじまるので、ぜひ並べてみてほしい。
というわけで、結果は省略させてもらうが終盤の攻防は見事。観戦者としても非常に興味深い一局となった。
右玉ならではの広さを生かした粘りは参考になるだろう。
というわけで、右玉NOWは今後も佐藤天彦九段を応援します!