2020年6月2日に行われた女流王座戦一次予選で、中澤沙耶女流初段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
中澤沙耶女流初段は右玉を得意とする右玉党注目の女流棋士。YAMADA女流チャレンジ杯優勝の実績がある。
セカステ右玉や7二金型右玉などの右玉最新形も指しこなしているので、以下のエントリも参考にしてほしい。
中澤沙耶女流初段、先手セカステ右玉で攻め切り快勝!
2019年6月15日は、モバイル中継された対局のうち、3局が右玉という右玉党にとっては歴史的な日になった。 これで、人類は右玉を指す人間とそうでない人間の2種類に大別できるといっても過言ではないだろう。 今回は3局の右玉のうち、YAMADA...
中澤沙耶女流初段、同日の連続対局で右玉を連採!(7二金型右玉)
前回までのあらすじ。 2019年6月15日、YAMADA女流チャレンジ杯で、中澤沙耶女流初段が堀彩乃女流2級を右玉で快勝する。 そして、同時に行われた準々決勝で、再び右玉を採用してくれた。 対するのは、伊奈川愛菓女流初段。 医師資格を持つ異...
対するのは脇田菜々子女流初段。中澤沙耶女流初段と同じ名城大学卒業で、同学年。学生女流名人戦で2連覇を果たしている。
本局は角換わりから後手番の中澤女流初段が右玉へ。序盤の緩手を見逃さなかった中澤女流初段が馬を作り、細い攻めをつなぎつつリードを保って勝負した。右玉を指しているとよくある形なので、右玉党には参考になるだろう。
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
将棋DB2の棋譜は以下
2020-06-02 女流王座戦脇田菜々子 女流初段 vs. 中澤沙耶 女流初段 第10期リコー杯女流王座戦一次予選
※棋譜利用は、リコー株式会社の許諾を得て掲載しています
後手右玉に対して、先手は地下鉄飛車を見せる
序盤は角換わりから先手はいつでも▲4五桂ができる形で駒組み。
17手目の局面、ここで△6三銀などとすると、4五桂が成立してしまう。
後手はそれに備えつつ、ストレートに右玉へ。右玉党なら何度も経験がある局面だろう。
先手は▲6七金左で地下鉄飛車含みの構想。右玉側としてはこの手をみたら地下鉄飛車を警戒しなければならない。
先手が▲8八銀と引いたところで、すかさず8筋の歩交換。
ただ、この手は先手に銀冠にされてしまう可能性もあるので良し悪しはある。このケースはソフトの評価値を見る限り問題なさそうだ。
後手、緩手を見逃さずに馬を作って攻める
47手目▲3九飛はやや緩手だったか。△4六歩打から▲同銀、△3八角打、▲3九飛、△2七角成で馬を作り、右玉側が指しやすくなった(以下図)。
終盤は華麗に寄せる
最終盤、△5八角打! は好手。取れば詰みなのでこの角は取れない。かといって、受けもない。
6八銀打と打ったが、7手詰みがあった。本譜は△7五歩から安全勝ちを目指して勝利となった。
ちなみに7手詰みの解答はこちら。
というわけで、右玉NOWは今後も中澤沙耶女流初段を応援します!