2020年6月10日に行われた棋王戦予選で、先手の金井恒太六段が先手右玉を採用してくれたので紹介したい。
金井恒太六段はウィーン生まれの中堅棋士。居飛車党で角換わり腰掛け銀を得意としており、タイトル戦になって初の叡王戦に登場したことでも有名だ。
対する後手は千葉幸生七段。かつては振り飛車党で振り飛車の著書もあるが、現在は居飛車党。奥様は千葉涼子女流四段。
本局は角換わりから先手が右玉にするというプロ棋戦ではやや珍しい戦いとなった。
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
将棋DB2はこちら
2020-06-09 棋王戦金井恒太 六段 vs. 千葉幸生 七段 第46期棋王戦予選
先手、ユニークな玉の動きで右玉へ
序盤は角換わりから先手が中住まい。後手が早繰り銀模様。先手はやや作戦負けと感じているのか、手待ちから玉が5七を経由して右玉へ。途中で右玉に繰り替える将棋はよくあるが、少し珍しい移動方法だ。
後手△5四角を放つ
後手は57手目に△5四角。対右玉に出てくる手筋で、右玉党は対応方法を知っておく必要がある。8筋からの突破と3筋の桂頭を狙っているのだ。
後手は角を犠牲に8筋を突破したが、先手もと金が残っている。右玉の場合、飛車先を突破されても主張点があれば何とかなる場合も多い。2008年の渡辺-羽生戦が有名だろう。
本譜も8筋を突破されたが、ソフト評価は先手優勢となった。
先手緩手(?)も巻きかえす
73手目、▲2五歩打は緩手だったか。2筋への継ぎ歩は手筋中の手筋だが、△2八歩打と叩かれて、飛車を釣り上げられて△8九龍とされてしまう。もちろん、金井六段も百も承知だったとは思うが、軽視していたかもしれない。ソフトの読みは変えて、▲6五角打と攻防に利いた角打ちだった。
ただ、致命的というわけではなく、後手の必死の攻めもなんとか受け取って勝勢へ。
最後は19手目を読み切り、金井六段の勝利となった。
(△106手目の局面で詰みを読んでみてほしい)
以上、右玉党にとって参考になる一局でした。
右玉NOWは今後も金井恒太六段を応援します!