2020年11月26日に行われた朝日杯オープン戦二次予選で、郷田真隆九段が後手番で右玉を採用してくれたので紹介したい。
郷田真隆九段は羽生世代の強豪棋士で、タイトル獲得は6期。居飛車本格派で、その指し回しは「格調高い」とも称される。右玉の採用は珍しいが、今年2月の順位戦で採用し、受け切って勝利している。
先手番は渡辺大夢五段。奨励会三段リーグ次点2回でプロ入りした苦労人で、その後規定を満たし、順位戦も参戦している。羽生流右玉(7二金型右玉)を採用したこともある。
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
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【独占!】朝日杯二次予選 丸山忠久九段-野月浩貴八段/郷田真隆九段-渡辺大夢五段
※対局は10:50あたりから。解説なし。
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角換わり右玉から先手は地下鉄飛車模様へ
本譜は手損のない角換わりから、後手はストレートに右玉へ。さらには風車右玉へ変化する。おそらく用意の作戦だろう。
先手の対策は、▲6七金からの地下鉄飛車。いにしえからある右玉対策で、▲8八銀を見た瞬間に右玉を捨て玉を5一へ移動した。5一玉時点でのソフト評価値は互角。後手番としてはまずまずだろう。
後手、再び右玉へ
51手目、先手は▲2六角を敢行。狙いは4筋。△2四歩、▲4五歩、△同桂、▲同桂と進むが、ここが分岐点の一つか。△2三金と歩を支えておけば、わずかに後手よりだったかもしれない。
本譜は、積極的な△1五歩のあと、再び右玉に戻るという作戦となった。
渡辺五段、たくみな手順でリードを広げる
67手目、先手は桂取りとなっているが、▲2六角の王手から、▲7四桂と王手したのが見事な手順。
71手目、飛車の利きに成る▲8二桂成の強行で、後手は取り切れず(取ると飛車成がある)。流れは完全に先手に傾いた。
以後、見た目的には互角に見えるが、ソフト的には大差に。先手の攻めはかなり細いが、つなげきった。
とくに、105手目の▲6二銀打、113手目の▲5三銀不成! は見事な一手。
というわけで、先手勝利となり、残念ながら右玉を持った郷田九段の負けとなった。
しかし、中盤までは互角。先手も少し間違えたら安全圏に逃げられる可能性もあったので、渡辺五段の攻めが見事とだったと言えるだろう。
右玉NOWは今後も郷田真隆九段を応援します!