2020年2月14日に行われた王位戦挑戦者決定リーグ白組の対局にて、後手番の稲葉陽八段が7二金型右玉を採用してくれたので紹介したい。
稲葉陽八段は、関西若手四天王の一人(最近はあまり言わない?)。居飛車党で角換わりが得意で、右玉を指すこともある。A級棋士で名人挑戦経験もある超強豪だ。
対する先手番は阿部健治郎七段。序盤研究家で、先手番セカステ右玉を指したことも。新人戦優勝の実績あり。
本譜は手損のない角換わりから後手の稲葉八段が7二金型右玉を採用する展開となった。
なお、稲葉八段は以前に一手損角換わり7二金型右玉を採用してるので、以下のエントリも参考にしてほしい。
棋譜は、スマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」からどうぞ。
もしくは以下から。
2020-02-14 王位戦阿部健治郎 七段 vs. 稲葉 陽 八段 第61期王位戦挑戦者決定リーグ白組
一手損ではない角換わり7二金型右玉
序盤は手損のない角換わりから先手は早繰り銀模様。後手も早めの△7三桂で牽制する。26手目、稲葉八段は△7二金! その後、7二金型右玉となった。
7二金型右玉は羽生九段による一手損してからの作戦が主流だったが、対策が進み苦しいのではないか? とも見られている。が、手損のない角換わりであれば作戦と十分優秀と言えるだろう。
ちなみに一手損角換わりが完全に無理というわけではなく、四間飛車で対抗する手段もある。同日に行われた竜王戦2組ランキング戦の八代弥-丸山忠久戦でも、後手の丸山九段が一手損角換わりから四間飛車を採用し勝利を上げている(詳しくは「日本将棋連盟モバイル」にて)。
後手、△6五桂からの仕掛け
36手目、後手は△6五桂から仕掛け。▲同歩は△同桂で後手好調なので、先手は▲6七金。
そこで、△4九角!がこの形で頻出する角打ち。これを知らないと7二金型右玉は指せないだろう。
先手は角打ちは放置して▲6五歩と取ったが、ここから形勢は後手に流れていく。
後手、飛車を見捨てて攻め、勝利へ
49手目、先手が▲7七金で飛車に当てた手に対し、後手は飛車を見捨てて△6六歩! これが好手で後手有利の展開に。
先手も危険な格好になるが、70手目6七飛打から詰めろをほどいた手で後手陣はかなり安全に。最後は後手が首を差し出し、即詰みとなった。
というわけで、7二金型右玉を採用した稲葉八段の快勝譜に。手損のない7二金型右玉は今後もプロ棋戦で多く見られるかも知れない。
右玉NOWは今後も稲葉八段を応援します!