長い将棋の歴史の中、わずかであるが右玉の本は出版されている。
右玉党であるミギーは、当然のごとく、ほとんどの本を所有済み(さすが!)。
これから右玉をはじめるならば、右玉の本を何冊かは手元に置いておきたいところだ。
そこで、右玉の本について、どのような内容を扱っているのか、簡単に紹介していこう。
高田明浩の右玉新時代
右玉党として有名な高田明浩四段による右玉本。2022年10月24日発売。
久々に登場した右玉本で、後手右玉を中心に扱っている。詳しくは以下のエントリをどうぞ。
なんでも右玉
対居玉の右玉を幅広く扱った右玉本。著者はベテランの北島忠雄七段。2021年1月21日発売。
詳しくは以下のエントリをどうぞ。
右玉を指しこなす本 対4八金型編
将棋YouTuber牙狼さんによる右玉本。ノーマル角換わり右玉の後手番で、人気の対4八金型のみを扱う。対4八金型で頻出する形を網羅しているので、マスターすれば対4八金型に対する勝率は確実に上がるはず。紙版は存在せず、電子書籍のみ。2020年5月発売。
スリル&ロマン 対振り飛車右玉
対振り右玉を扱う初めての本格棋書。2019年9月11日発売。対振り右玉の究極の研究、というわけではなく、頻出する局面を扱っていなかったりするが、対振り右玉の入門向けとしてはよいだろう。
誰も言わなかった右玉の破り方
史上初となる右玉破りの本。右玉党としては、「こう指してしまうと右玉が悪くなる」という勉強になる
。詳しくは以下のエントリで。
変幻自在! 現代右玉のすべて
新進気鋭の棋士・青嶋五段による右玉本。2018年5月出版ともっとも新しく、これから購入するなら、この一冊といえるだろう。
扱うのは、角交換型風車右玉、風車右玉、角交換型矢倉右玉、矢倉右玉の4つ。対振り飛車の紹介はない。
右玉は後手番の作戦、という考えのためか、すべて右玉側が後手番。上下反転していないため、初心者には若干読みにくいかもしれない。人によっては、本を逆さにして見るなど工夫は必要になる。
とっておきの右玉
アマ超強豪にして、安食女流の旦那様としても有名な細川氏(あじ夫)の右玉本。アマチュアではあるが、右玉のスペシャリストである細川氏だけに、レベルは高い。
「現代右玉のすべて」とは違い、基本的に先手番右玉のみを扱っており、後手番は千日手になるかどうか、ということだけ触れられている。
戦型はすべて角換わりで、対居飛車の6七銀型(風車)、対振り飛車の6七銀型(左玉)、7七銀型の3つについて、深く考察されている。ほとんどいないとは思うが、角交換型の右玉は一切指さないという人は、購入しても意味がない。
相振り飛車で左玉戦法 居飛車で右玉戦法
ベテランの小林健二九段による右玉本。タイトルの通り、対振り飛車の左玉、対居飛車の右玉、さらには対振り飛車の右玉が紹介されている。内容はすべて先手側の視点になる。
左玉は角交換をしないタイプ。自分は指さない戦型なので間違っているかもしれないが、狭い局面を深く掘り下げている感じ。対居飛車の右玉は角交換、角不交換に加え、陽動振り飛車にする作戦も紹介されている。角交換右玉はアマチュアの実践でよくある局面が多いので、実用的だ。
最後の対振り飛車右玉は向かい飛車、三間飛車、中飛車対する作戦を紹介。名前こそ出てこないが、糸谷流右玉の形。9筋から角を覗く、糸谷流らしい攻め筋も解説されている。
南の右玉
55年組の強豪・南芳一九段の右玉本。内容は、右玉対矢倉模様、袖飛車、振り飛車、その他の急戦。「現代右玉のすべて」同様、後手番の戦法という割り切りがあり、図面は後手番の動きを見ていくことになる。内容は、一章に関しては、南九段の右玉実戦例を詳しく紹介した感じ。バリエーションは多くないが、右玉の流れはわかりやすいかもしれない。二章以降は右玉ではない(笑) つまり半分以上は右玉ではないので注意したい。
棋界に伝わる二つの秘法 雁木・右玉伝説
右玉を扱った棋書は、しばらくの間「右玉伝説」しかなったが、古本でしか流通せず、高値で取引されていた。そんな、「右玉伝説」と雁木を扱った「雁木伝説」をまとめて復活させたのが、本書である。ちなみにミギーは「右玉伝説」しか持っていない。
内容は、風車右玉、矢倉右玉、右玉七変化、右玉実戦例。基本的には角不交換の実戦的な多くの局面を扱っている。とくに、手詰まりになりそうな局面での打開方法は参考になるだろう。
なお、著者は不明。あとがきはアマ強豪でもある古作登氏なので、氏が書いたのだろうか。